正直に、そして、恥ずかしがらないで

声かけで意識していることについて聞くと、みっつんさんはこう答えた。

「感情を絶対に否定しないようにしています。喜怒哀楽はあって当たり前だから、『今はどんな気持ち?』と聞いて『悲しい』と言われたらその感情を認めること。だけど、悲しみや怒りを相手に伝える努力をフォローするようにしています。

あと、気持ちを押しつけないこと。まずは相手の気持ちに寄り添って、共感して、そこで何かを求められた時に自分が教えられる事があるといいなと思います。大人は子どもより経験値はあるから、『自分はこう思う』というスタンスで会話するようにしています」

みっつんさんが性教育に関心を向けることになった大きなきっかけは、初出演の舞台『愛ってなに?』だった。

1970年代の西ドイツで初上演された青少年向けの性教育の芝居を演じたことで、セックスだけではなく、性自認やアイデンティティを含めた“セクシャリティ”について、臆せず話す大切さを実感したと言う。稽古中、ドイツ出身の演出家ペーター・ゲスナーに何度もこう言われた。「正直に。そして、恥ずかしがらないで!」それは、みっつんさんが性教育を伝えるときのスタンスになった。

自分と相手をリスペクトすることがセックスの肝。スウェーデンの性教育から学ぶ_4
YouTube『ふたりぱぱ FutariPapa』より

「演じる側が恥ずかしがっていると、受け取る側も恥ずかしいテーマだと認識してしまう。大切な話をしているのだから堂々とすべき。伝える側が感情を植え付けないようにするのが大事だと教わって、それは普段の生活や本の翻訳でも活きたと思います。この前、サファリパークで『この子はフィッタ(女性器の俗語)があるから、女の子だね』って息子が言ったんです。

自分と相手をリスペクトすることがセックスの肝。スウェーデンの性教育から学ぶ_5
YouTube『ふたりぱぱ FutariPapa』より
すべての画像を見る

教えてないからびっくりしたけれど、そこで大人が恥ずかしがったり、『言わない!』と否定したりするのは違う。状況に応じて真面目に話すことで、性の話が内緒話ではなくなるのかなと思います」