4.食事の摂り方
「セロトニンと呼ばれる脳内神経伝達物質があります。これには気分安定作用があり、ストレス耐性を高める働きがあります。セロトニンの産生が減ると攻撃的になったり、不安やうつの原因となります。女性ホルモン分泌減少と関係があるのではないかと言われています。
セロトニンはトリプトファンと呼ばれる必須アミノ酸より合成されるのですが、このトリプトファンは体内で作られません。逆にいうとセロトニン分泌のためにはトリプトファンが多く含まれる食事と運動が必要です。
『食事(トリプトファン)+食物繊維+運動』はセロトニンを増やし、結果夕方以降から明け方までのメラトニン生成を促し、睡眠の質を高めます。
野菜や食物繊維中心の食生活にして、発酵食品(例: ヨーグルト、チーズ、納豆、味噌、ぬか漬け、キムチなど)をできれば毎日2種類摂りましょう。腸が整うと脳が整い、脳が整えばメンタルが整います。
あとは、オメガ3脂肪酸が豊富に含まれる青魚(例:サバ、サンマ、イワシ、アジなど)を、できれば月に15食以上は摂ること。オメガ3脂肪酸には、前述した体内時計を整えてくれる効果があります。
朝に豆腐などの具沢山のお味噌汁とご飯、卵焼きに焼き魚といった伝統的な和食の朝食を食べることでトリプトファンとオメガ3脂肪酸を摂取することができます」
5.運動
「基本的に、毎日運動しましょう。運動といっても、短時間のウォーキングや散歩で十分です。1日15分程度でも良いので、歩く習慣をつけること。歩くときは、大股でかかとから着地し、一定のリズムでコツコツ歩く。朝日も浴びられる朝の散歩はより効率的です」
亀廣先生にお聞きした食事と運動のポイントは以下の通りだ。
・食事:豆腐、味噌、納豆、チーズ、ヨーグルト、玄米、卵、クルミなど
・運動:朝方のウォーキングや軽いダンスなどリズミカルな運動
いずれも特別難しいことではなく、生活のなかで実践しやすいものばかり。しかし、継続・定着させていこうと思えば、自らを律する姿勢や日々の心掛けが欠かせない。
「日々の生活をご紹介したような一定のパターンにすることで、メンタルヘルス不調になるリスクを減らしたり、こころの状態を調えていくことができます。本気でご自身のメンタルを改善したいのであれば、一時的ではなく、毎日ずっと続けていくことが何より大事です」
「うつ患者の再発率ゼロ」の心療内科医に聞いた、メンタルの整え方
大阪・枚方市に、全国から患者が集まる「職域メンタルヘルス専門」のクリニックがある。ここでは精神科や心療内科でよく処方される「抗うつ薬・抗不安薬・睡眠薬」を使わず、5年後の再発率はゼロだという。院長の亀廣聡先生に、職場や仕事が原因で起きるメンタルヘルス不調を薬に頼らず改善し、仕事上の悩み・落ち込みと上手に付き合っていくコツを聞いてみた。
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それでもメンタルが落ち込んだ時には…