サウナ中はスポーツドリンクより断然、水のワケ
浴室へのドリンクの持ち込みが許可されている銭湯やスパ施設へ行くと、サウナ室前の棚にはペットボトルがずらり。900ミリリットル、2リットルなどビッグサイズのスポーツドリンクを流し込むサウナーの姿をよく目にする。
「サウナに入ると大量の汗をかくため、各セットの小まめな水分補給は必要です。合計500ミリリットルから1リットルは飲むようにしてください。しかし、スポーツドリンクの摂り過ぎは要注意。サウナで得られるはずの効果がなくなりかねません」
サウナに入ると代謝が上がり、エネルギーを消費しやすくなり、体型のコントロールにつながる。これは、首の前方にある小さな臓器、甲状腺から出る甲状腺ホルモンによるものだという。
「甲状腺は代謝のスイッチを切り替える役割を担っています。では、サウナに入るとなぜ甲状腺ホルモンが出るのか? 高温のサウナ室は、人の体にとって非日常的な危機的状況。そこで甲状腺が働き、体内に蓄積している脂肪を使って生き延びようとするのです。
しかし、エネルギーとなる糖分がたくさん含まれるスポーツドリンクを飲むと、『外からエネルギーが入ってくるから大丈夫』だと体が認識し、甲状腺ホルモンが出なくなってしまうのです。サウナ中は水がベスト。スポーツドリンクはサウナ後に飲むのがいいでしょう。また、汗とともに塩分が失われますが、現代人はおしなべて塩分過多なので、3セット程度のサウナであれば特別に多く塩分補給する必要はないと思います」
ヒリヒリするような日焼けの後は?
夏は旅行やアウトドアで日焼けをしてしまうことも多い。日焼けをした直後は、サウナに入っていいのだろうか?
「日常生活での日焼け程度ならば問題ありません。しかし、山登りや海水浴など、強い日差しを長時間浴びた場合はやめておきましょう。ヒリヒリして痛みがあるのは、皮膚が急性の炎症を起こしている状態。サウナに入ると血流が良くなり、症状が悪化してしまいますのでご注意を。サウナの熱刺激を受けると細胞を修復するヒートショックプロテインが出るのですが、こちらは慢性の炎症にのみ効果があります」
最後に、真夏のサ活を充実させるために大切なのは、マナーを徹底することだという。
「濡れた体のままサウナ室に入らない、感染防止のためサウナ室で会話をしない、水風呂に入る前に汗をちゃんと流す、座ったイスにはかけ湯をするなど、決まりごとを確認し、きっちり守ってほしいですね。コロナの第7波に加え、記録的な猛暑と大変な時期ですが、お互いに快適にサ活ができるように思いやることで、免疫力をつけ、健康的に夏を乗り切ってほしいです」
取材・文/小林 悟
写真/Getty Images