叫んじゃうくらい恥ずかしくなる
――伊織さんは連載当初から『僕ヤバ』のファンだったそうですね。
そうですね。作者の桜井のりお先生が、よくTwitterに『僕ヤバ』のイラストやショートショートをアップされているじゃないですか。それをたまたま拝見したことがきっかけで、連載を追いかけるようになったんです。当時は『いちごとレモンとマスカット』というラジオ番組のパーソナリティをやっていて、そこでも「めっちゃいい漫画を見つけた!」と紹介したのを覚えています。
――『僕ヤバ』のどんなところが伊織さんに刺さったのでしょうか?
とにかく没入感がすごいんですよ。「うわー!」って叫びそうになるくらい恥ずかしい気持ちにもなるし、ものすごくキュンキュンもする。私にはこんな青春時代はなかったはずなのに、なぜか自分の思い出を追体験しているような気持ちになるというか。その感じがめちゃくちゃ好きです。
――特に印象に残っているエピソードはありますか?
市川が山田に紅茶花伝を買ってあげるシーンがすごく好きで。影響されて、紅茶花伝ばっかり買っている時期がありました(笑)。
紅茶花伝だけじゃなくて、「ねるねるねるね」とか「フルーチェ」とか「メルティーキス」とか、実際の商品がよく登場するじゃないですか。そのチョイスが上手いというか、「中学生って、こういうのが好きだよね」というものが選ばれていて。そういう細部の作りこみが、作品への没入度を高めているのだと思います。
――お気に入りのキャラクターも教えてください。
みんな好きなのですが、一番親近感を感じるのは、やっぱり市川です。私もたいがい“陰キャ”で、中二病だったので(笑)。十字架が描いてある棺桶のストラップをカバンにつけて登校するようなタイプでした。逆に、もし山田みたいな女の子が同級生にいたら、ちょっと距離を置いていたんじゃないかな。教室の隅っこから、別の生き物を眺めるような気持ちで山田をチラ見していたと思います。