三木聡監督の「ぶっ飛んだ世界」
——脚本は、映画評論家のマーク・シリング氏の短編を原案に三木監督が書かれたオリジナル。脚本を読まれての感想は?
成田 「どんな作品なんだろう?」と思いながら脚本を開くと、もう、文字から伝わる三木聡ワールド。「あ、ああ」とか「ナントカカントカ……かな?」とか、三木さんの世界らしい言葉とイズムが流れていて、興奮しましたね。
前田 独特だよね、言葉が。
成田 うん。ぶっ飛んだ世界なので全体がどうなるのかは想像できなかったんですけど、それはもう、現場で感じればいいかなと。文字だけ頭に入れて、現場に行った感じでした。
——実際に三木監督の演出を受けてみて、いかがでしたか?
成田 三木さんの頭の中には、全部の正解があるんですよ。絵コンテを描かれているので、たぶん役者の動きやカメラワークまで全部決まってる。でも、セリフの言い方や間(ま)で面白さがだいぶ変わってくるので、「ここはポンポンいったほうがいいですか?」とか「ひと間置いたほうがいいですか?」とか聞きながらやっていくと、どんどん面白くなる。さすがだなって思いました。
前田 そうだ! それで私、間の数え方が人と違うことに気付いたんだ(笑)。
成田 はは(笑)。
前田 監督が「そこの間は、3数えて」とか「6数えて」と言うことが多くて、その通りにやると、「早い!」って言われる(笑)。
成田 例えば、「3間」と言われたら、僕なら「1……2……3…」と数える。前田さんは?
前田 1、2、3。
成田 倍のスピードなんですよ。人の倍のスピードで生きてます、前田さんは(笑)。