妖艶な人妻役に「何やってんだよって感じでした(笑)」

——今回の作品を通して得たもの、新境地はありますか?

成田 難しいですね。すごくリラックスしてやっていたので。でも、三木さんらしい、話し言葉じゃないセリフを、いかに面白く伝えてしていくかは、すごく考えました。それで三木さんに「どうやって言ったらいいですか?」と聞いて、実際に言ってもらうと、三木さんにとっては、それが話し言葉だったりするんですよ(笑)。脚本家が監督をすると、そういう面白さがあるんだなと思いました。そういうふうに、言葉や役を自分に引き込むんじゃなくて、逆に寄り添うということでは、今回すごく得るものがありました。

——前田さんは、妖艶な人妻役は新境地かなと思いました。AKB48時代から前田さんを知っている人は、「あっちゃんが大人になった……」と思いそうです。

前田 本当ですよね(笑)。そういう役を自分がやるようになるとは、思ってなかったです。加藤を誘惑するシーンなんかは、客観的に見て、何やってんだよって感じでしたけど(笑)。

前田敦子の「妖艶な人妻」ぶりに成田凌は「普通ならドキドキするけど…」_5
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——成田さんは、やはり前田さんの色気にドキドキしましたか?

成田 しましたね。ただ、やってる側としては、いろんな心配事があるんです。「寒くないかな?」とかもそうだし、行為としてどこまでするのか、しないのかっていうようなことも決めておかなきゃいけない。普通ならドキドキしたり相手の行動に反応したりしそうですけど、案外、そこに頭がいかなくて、必死でしたね(笑)。

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取材・文/泊 貴洋
撮影/柳岡創平
場面写真/©2022「コンビニエンス・ストーリー」製作委員会

『コンビニエンス・ストーリー』(2022年)
監督・脚本/三木聡
企画/マーク・シリング
出演/成田凌、前田敦子、六角精児、片山友希、岩松了、ふせえり、渋川清彦ほか
配給/東映ビデオ

スランプ中の売れない脚本家、加藤(成田凌)は、ある日、恋人のジグザグ(片山友希)が飼っている愛犬・ケルベロスに腹を立て、山奥に捨ててきてしまう。その後、探しに戻るが、レンタカーが故障。霧の中のコンビニ「リソーマート」で店員の妖艶な人妻・惠子(前田敦子)に助けられ、彼女の夫のコンビニオーナー・南雲(六角精児)の家に泊めてもらうことに。加藤は、すでに異世界にはまり込んだことに気づいていなかった——。

8月5日(金)テアトル新宿ほか全国公開
公式HPはこちら https://conveniencestory-movie.jp

成田 凌 なりた りょう
俳優
1993年、埼玉県生まれ。2013年、『MEN'S NON-NO』専属モデルとなり、2014年に俳優デビュー。2018年の映画『スマホを落としただけなのに』、『ビブリア古書堂の事件手帖』で日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞。2019年の主演映画『カツベン!』で毎日映画コンクール男優主演賞を受賞。2022年は、映画『ニワトリ☆フェニックス』、ドラマ『逃亡医F』、舞台『パンドラの鐘』などに出演。2023年1月上演の舞台『宝飾時計』に出演予定。

前田 敦子 まえだ あつこ
俳優
1991年、千葉県生まれ。2005年のAKB48結成時からメンバーとして活動。2007年、『あしたの私の作り方』で映画デビュー。2012年にAKB48を卒業し、映画、ドラマ、舞台などで活躍。近年の主な出演映画に『町田くんの世界』、『旅のおわり世界のはじまり』、ドラマに『伝説のお母さん』『逃亡医F』、舞台にNODA・MAP『フェイクスピア』など。映画『もっと超越した所へ。』が2022年10月14日より公開。