第3位:『アオラレ』(2020年)

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引き続きご紹介したいホラー映画は、ラッセル・クロウ主演の『アオラレ』(2020年)。

「不運続きでイライラしていたシングルマザーの美容師が、通勤ラッシュ中たまたま出くわした車相手につい口論を行ってしまったことから、そのサイコ運転手につけ狙われてしまう」というロードレイジ・ホラー。

趣向としてはスティーブン・スピルバーグ監督作『激突!』(1971年)に近いところがあるものの、こちらは若干社会派かつ、主人公側の非もそれなりに大きめ。その他、最初から最後まで相手の顔が見えない『激突!』とは異なる。

こちらは「サイコ運転手が最初からはっきり顔出ししている」「なまじ直接顔を合わせ、お互いイライラ状態で対話してしまったからこそ、ちょっとした口論がヒートアップし大事件にまで発展することとなる」点で差別化に成功している。

大勢の無関係な人々を巻き込み、ときには殺しに手を染めながら主人公を追うサイコ運転手の異常性は言うまでもないが、一方で主人公も大概好戦的な気質。そもそも、もめごとの発端は主人公が過剰にクラクションを鳴らし、相手車両と不必要に敵対してしまったせい。そしてそんな主人公およびサイコ運転手の余裕のなさの原因は、渋滞のほか離婚調停やら仕事やらといった諸事情で追い詰められていたため。

雑に結論を出すならば「このストレス社会が悪い」ということになるのだろうが、意外にも本作の問題は根深い。