5分くらい歩いたら、海に出ました。おや、波の上にはたくさんのウインドサーフィンが。500~600メートル先が海に出る場所になっているようで、何でもない平日なのに、けっこう人の姿が見えます。どっかの大学のウインドサーフィン部かな。

せっかく波打ち際に来たので、海に向って誓う写真をセルフタイマーで撮影。ここは「バカヤロー!」と叫ぶべきだろうかと悩みましたが、さすが神奈川の海岸はそれなりに人通りがあるので断念しました。セルフタイマーをセットして波打ち際に走って行って、立つ位置を決めてポーズを取ります。繰り返すこと10回くらい。犬を散歩させていたおじいさんが、そんな様子をじっと見ています。海に誓う私の背中は、おじいさんの目にどう映ったでしょうか。

京急久里浜線「津久井浜駅」を降りて潮の香りを思いっ切り吸い込んだ_2
昼間はちょっとアレですけど、夜中だったら「バカヤロー!」と叫んでも差し支えなさそうです。海に向かって叫びたいあなたは、ぜひ津久井浜へ

ウインドサーフィンをしている人たちのほうに歩いていくと、あれ、学生っぽい人はひとりもいません。中年世代やそれ以上のお兄さん世代ばかりです。砂浜でウインドサーフィンの道具の調整をしていた金髪のナイスガイ。「こんにちは」と挨拶したら、ニッコリ笑って「はい、こんにちは」と返してくれました。

東京から来た星野ロドリゲスガリンド聡さん(48)は、ウインドサーフィン歴4年。日本とメキシコのハーフです。サーフィンやスキューバダイビングも大好きで、週に3回はどこかの海に行っているとか。

「津久井浜は、いい横風が吹くけど波は高くないから、ウインドサーフィンをやるにはいいんですよ。ワールドカップの開催地にもなってます」

そうなんですか。恥ずかしながら、まったく無知でした。

京急久里浜線「津久井浜駅」を降りて潮の香りを思いっ切り吸い込んだ_3
ちょっとセイル(帆)にを持たせてもらいましたが、かなり重いですね。風を受けてさらに重くなったセイルを支えて、しかも立ったまま進むのは、相当な体力がいりそうです

66歳のサーファー

堤防の上から楽しそうな笑い声が聞こえます。仲間のみなさんとビニール製の大きな羽に空気を入れようと悪戦苦闘していたのは、東京から来た高橋良隆さん(66)。この羽は「ウイング」と呼ばれるもの。ボードに座ったまま羽を持ち、風を受けて海の上を進んでいくそうです。海の上をよく見ると、ウインドサーフィンだけでなく、ウイングを楽しんでいる人もちらほら。

高橋さんは、ウインドサーフィン歴20年以上。日焼けして引き締まった体で、お歳を聞いて「えっ」と声を上げてしまいました。「ウイングはあまり体力がいらなくて歳をとってからもできるから、今年はやってみようかなと思って」。まだ始めたばかりで、顔見知りの先輩たちに空気の入れ方を教わっていたとか。みなさん無邪気な笑顔でした。あんなふうに笑い合えるなんて、趣味の仲間っていいもんですね。

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ウイングを使って海の上を華麗にすべる高橋さんの雄姿