多岐にわたるエンタテインメント関連の法規制

私は2021年夏から1年間、主にエンタテインメントやスポーツ分野の法規制や法慣習を学ぶためにUCLAに留学していました。エンタテインメントに関連する法律や契約慣行は、総じて「エンタテインメント法(Entertainment Law)」と呼ばれることがあります。もっとも、日本でもアメリカでも、エンタテインメント法という名前の法令が制定されているわけではなく、あくまでエンタテインメント業界に関わる法規制や法慣習全般を指して、ざっくりとこのように言っています。

日本でもエンタテインメント法を専門に扱う弁護士の数は少しずつ増えてきましたが、アメリカでは、ニューヨーク州とカリフォルニア州を中心に、多数のエンタテインメント法専門の法律事務所があり、弁護士が扱う業務分野もかなり細分化されています。

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UCLAのロースクール棟(撮影:筆者)

では、アメリカで学ぶエンタテインメント法とはどのようなものなのか。もちろん、簡単に説明できるものではないのですが、今回はイメージを掴んでいただくために、アメリカの芸能界で大きな存在になっている「ギルド」を例にとって概観してみましょう。

アメリカでは大多数のタレント(ここでは、日本のバラエティ番組などで目にする、いわゆる「テレビタレント」とは異なり、広く俳優、監督、脚本家らを指します)が、労働組合に似たギルドに加入しています。