「不適材不適所」を長時間労働のマンパワーで解決!?
それはいうまでもなく、年功序列・終身雇用の日本企業では、プロジェクトの責任者を外部から招聘したり、中途入社のスタッフだけでチームをつくるようなことができないからです。そのため社内の乏しい人材プールから適任者を探そうとするのですが、そんな都合のいい話があるわけがなく、「不適材不適所」で混乱する現場を長時間労働のマンパワーでなんとか切り抜けようとし、パワハラとセクハラが蔓延することになるのです。
なぜ労基署は、この違法・脱法行為を是正できないのでしょうか。それは官公庁こそがベタな日本的雇用の総本山で、民間企業を強引に指導すると「だったらお前たちはどうなんだ」とヤブヘビになるからです。事件を批判するマスメディアも同じ穴のムジナで、無意味な説教を繰り返すだけです。
こうしてどれほど犠牲者が出ても、長時間労働も過労死も一向になくなりません。森友学園の決裁文書を違法に書き換えるよう強要され、自殺してしまった近畿財務局職員の悲劇はそんな日本社会の残酷さを象徴しています。
これは日本の会社(役所)の構造的な問題なので、ほとんどのサラリーマンがいつかはこの罠にはまってしまいます。これが、日本のサラリーマンのエンゲイジメント(仕事へのやる気)が国際的に極端に低く、会社を憎んでいる理由でしょう。
だからこそ「働き方」改革が必要とされるのですが、それは一朝一夕には実現できず、10年、20年と「改革」を待ちつづけているうちにこころが病んでしまうかもしれません。だとすれば残された方法は、自力でこの罠から逃れることしかありません。これがフリーエージェント化です。