一緒に食卓に混ぜてもらっているような読後感
もちろん、取材の中では先述の「カラクッコ」のように「うーん」と思うような味にも出会うのだが、読む側にとってはその経験すらも楽しそうに映る。堂場さんは、編集者や家族と食事をしながら語り合い、時に愚痴を言ったりしながらも、食べるという行為の幸せを噛みしめているように感じられるのだ。
そしてそれぞれの味が、過去の記憶や様々な知識とつながりながら語られるから、読んでいると一緒に食卓に混ぜてもらって横で話を聞いているような気分になる。きっと堂場さんは、どんな料理でも、単なる味覚うんぬんを超えた部分で楽しめる方なのだろうと思う。
堂場さんが味の描写にどれだけ注意を払っているかは巻末に収録された平松洋子さんとの対談でも語られているが、味覚に自信のない私にでも、食の楽しみを感じさせてくれる、懐が深い一冊だった。
ちなみに、平松洋子さんが対談で語っておられる福岡の「今屋」のホットドッグ、私も大好きなので『弾丸メシ』の続編がスタートした際にはぜひ堂場さんに味わっていただきたい!
文/スズキナオ