避妊具の使い方を教わるフランス

前述の通り、日本の「はどめ規定」は性感染症予防の学習の弊害にもなっている。

学校で性交について学ぶことができないため、子どもたちは「コンドームを使用することがなぜ性感染症予防に効果的であるのか」を順序立てて知ることができないのだ。

これはコロナ禍に置き換えれば、「なぜかは決まりによって教えられないが、外出時は絶対にマスクで口を覆え」と言われているようなもの。この説明で納得して、すすんでマスクをつける人はいないだろう。

実際は、高校生くらいになれば性交がどのようなものか知っている子どもも多い。しかし、その情報源は正しく、そして学校で学ぶ以上に望ましい内容だろうか。

これに対し、フランスでは、シカやニワトリなど動物の交尾の写真とともに、性行為の事実を的確に説明することもある。そのうえでコンドームはもちろん、子宮内避妊リングや女性用コンドームなどの避妊具について、使い方やその効果を紹介しているという。

大学生の性交経験率は男子47%、女子36%。”後進国”日本の残念な性教育_2

カップルになると、たとえ学生でも「家族計画センター(避妊の相談や性感染症などについての相談所)」に行くことがめずらしくないフランスでは、生物や科学の時間を活用し、性について「自分ごと」として学んでいるのだ。

日本で高校生のカップルが2人で保健室に行こうものなら、それだけで学校中がざわつくことは想像に難くない。

このカリキュラムと若者の意識の実態を見るだけでも、性に対する両国の意識の差を感じられるだろう。