スタッフの一言で一歩前へ

上西が本格的に農業を始めたのは、2026年の春。苗の植え付けから携わり、InstagramやTikTokなどで、その過程を発信している。

「栽培しているのは、『シルクスイート』(登録品種名・HE306)、『ふくむらさき』、『高系14号』の3品種です。最初に『育てたい品種はありますか?』と聞かれて、自分が好きで、おいしいと思うさつまいもを選びました」

さつまいもには品種名とブランド名がある。例えば「紅はるか」は品種名で、「紅天使」などはブランド名にあたる。上西も将来的には、独自のブランドを立ち上げたいと考えている。

「『上西萌々芋』みたいなブランドを作れたらいいなと思っています。ただ、今はまだ1期目で、販売もこれからですし、栽培のすべての工程を一人でできるわけではありません。自分で栽培から販売まで手がけて、利益を出せるようになって初めて、一人前の農家と言えるのかなと思っています。

だからこそ、今は『さつまいも農家タレント』として、農業に挑戦している過程も発信していきたいんです」

そんな彼女は茨城県生まれ、千葉県育ち。母方の祖母が茨城県に住んでいたこともあり、幼い頃から干し芋に親しんできた。ただ、当時からさつまいもが大好きだったわけではない。

「それまではスーパーで焼き芋を買っても、すぐに飽きてしまうような感じで、特別好きというわけではありませんでした」

農作業をする上西萌々(撮影/千駄木雄大)
農作業をする上西萌々(撮影/千駄木雄大)

それが、大人になって焼き芋のおいしさに目覚め、さつまいもスイーツを買い集めるようになった。とはいえ、栽培方法や品種について詳しかったわけではない。そんな彼女に転機をもたらしたのが、『オールナイトフジコ』の番組スタッフからの一言だった。

「『さつまいもが好きと言うなら、もっと鹿児島に行くとか、それくらいの熱量がないとダメだよ』と言われたことがあったんです。たしかに、『好き!』と言っているだけではさつまいもに貢献できないし、タレント活動をしている意味もないかもしれない……。そこで『さつまいもアンバサダー協会』に所属し、歴史や文化、品種の違いなどを勉強するようになったんです」

協会では、実際に栽培も体験した。それまで祖父の家庭菜園を手伝ったことはあったものの、さつまいもを育てた経験はなかったという。

「勉強していくうちに、食べるだけでなく、育てることにも興味が湧いてきました。知れば知るほどさつまいもの魅力がわかってきて、私にできることがあるなら何でもやりたいと思うようになったんです」