米中ロが一致できそうな唯一のテーマは「ICCへの反対」
10月9日、2026年のノーベル平和賞が発表されると、外務省関係者はほっと胸をなで下ろした。事前の受賞予想で名前が挙がっていた国際刑事裁判所(ICC、赤根智子所長)が受賞を逃したからだ。
日本人が所長を務める国際機関の受賞なら誇ってもよさそうな話だが、高市早苗政権には何とも都合が悪かった。理由はトランプ米大統領。ICCを敵視するトランプ氏との関係を最優先する高市政権にとって、日本人所長の存在は対応の難しい問題となっている。
ICCを擁護すれば米国の機嫌を損ね、見捨てれば「法の支配」を掲げる日本外交の看板が泣く。外務省関係者はこう語る。
「ICCの扱いは本当に難しい。国民向けには擁護しないといけないが、日米同盟に傷がつくことはあってはならない」
そのICCに、トランプ政権はノーベル賞発表の数時間後、裁判所そのものを対象とする制裁を科した。問題は日米にとどまらず、日中関係にも影を落としかねない。ロシアの外交筋は、米中ロが一致できそうな唯一のテーマは「ICCへの反対」だとみる。中国が強める対日圧力の新たな材料になってしまうのか。
外交的な抗議の域を超えているトランプのICC攻撃
トランプ政権のICCに対する攻撃は、外交的な抗議の域を超えている。
ICCは2002年に発足した常設の国際刑事裁判所。戦争犯罪や人道に対する犯罪、集団殺害などを裁く。ロシアのウクライナ侵攻を巡っては、占領地からの子どもの違法な移送などに関与した疑いでプーチン大統領に逮捕状を出した。パレスチナ自治区ガザでの軍事作戦を巡っては、イスラエルのネタニヤフ首相らにも逮捕状を発付した。
イスラエルを強く支持するトランプ政権は猛反発。判事や検察関係者を相次いで制裁対象とし、8月には赤根氏にも制裁を科した。













