「散歩に連れて行くと愛犬が涙をボロボロ流していました」
また、別の近隣住民も、飼っている小型犬の様子がおかしくなった時期があったと語る。
「もともと散歩は好きだったのですが、事故後は散歩に行きたがらなくなりました。犬は人間より地面に近い位置を歩きますから、そのぶん硫化水素の影響が出るのか、臭いがひどい時期は散歩に連れて行くと涙をボロボロ流していました。今はもうそういったことはないです。別の犬を飼っている人は、犬の肉球の部分が荒れてしまったという話も聞きました」
こうした体調不良や犬の異変と硫化水素との因果関係は確認されていない。それでも、事故後に身の回りで起きた変化に、住民たちは不安を拭えずにいる。前出の飲食店店主が語る。
「1週間に一度、硫化水素の数値を県の方が来て計測してくれてはいますが、あれだけ金属を真っ黒に変色させてしまうのを見てしまうと、平気だと言われても怖さはありますよね。復旧工事は5年~7年続くと言われていますし、長年近くで暮らした時に人体に影響が出ないのかって心配はやっぱりまだあります」
それだけでなく、生活面でもさまざまな心配が残っているという。
「ようやくお店を開くことはできましたが、一度離れてしまったお客さんが果たして戻ってきてくれるのかわかりません。それでも営業できる間はしていこうと思って店に立っています。補償については事業者には一律10万円支払われるのと、前年の確定申告を元に補償してもらえるということにはなっています。
また、硫化水素が原因で腐食したと思われる物については補償をしてもらえる物もありますが、補償が一部しか及ばない物もあるので、基本的にはマイナスです。現状は金属が錆びたりするということはなくなりましたね」
今年2月には破損した下水道管の復旧が完了し、4月には通行止めになっていた県道の一部で通行が再開されるなど、復旧作業は進んでいる。一方、全面復旧には5~7年かかる見通しだ。
事故からおよそ1年9カ月。現場周辺の住民たちが以前のような日常を取り戻すまでには、まだ長い時間がかかりそうだ。
取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班













