コーヒーポット、灰皿が黒ずんで変色している

陥没事故後、ガス爆発などの危険性もあるとして、周囲の住民は29日未明に避難を呼びかけられ市役所などへ避難した。店主も同様に避難し、3週間以上の避難生活を送ったという。

ようやく自宅に戻り、店の片付けを始めたところ、ある異変に気づいた。

「お店に置いてあった金属製のコーヒーポットが黒ずんで変色しているのに気づいたんです。コーヒーポットだけでなく、灰皿についても墨のように真っ黒になっていて……。事故で漏れている硫化水素が原因と言われていますが、他にも車やお風呂場の金属の部分なども変色していました。それだけではなく汚水の臭いもひどくて、干した洗濯物に臭いがついて取れない状態でした」

変色した灰皿(店主提供)
変色した灰皿(店主提供)

事故から1年近く悪臭は残ったという。店主は今では慣れてしまい、臭いを感じなくなったそうだが、現場を歩いた記者には、かすかに汚水のような臭いが感じられた。

その後も店主の周辺では、硫化水素の影響と思われる異変が続いた。

「去年の8月にエアコンが2台壊れたんです。風は出るんですけど、まったく冷えなくなってしまったので、2台とも新しいエアコンに入れ替えたんです。そしたら今度は今年の7月に、新しく入れたエアコンの1台が風は出ても冷えなくなりました。取り付けてくれた電気屋の方が『さすがにおかしいです』とエアコンの中を開けてくれると、中や配線の針金が真っ黒になっていました」

県が八潮市で開いた説明会では、悪臭の要因である硫化水素は低濃度で、直接的な健康被害はないとしていた。しかし、周辺住民の中には頭痛や吐き気など、体調不良を訴える人もいる。店主も昨夏は約1カ月寝込むなど、長らく体調を崩していたという。

エアコンが腐食して壊れて動かなくなった(近隣住民提供)
エアコンが腐食して壊れて動かなくなった(近隣住民提供)

「もともと血圧が高くて、普段150くらいで、ひどかった時は198とかで血圧を下げる薬を飲んでいたんです。ところが事故後、朝も夜も工事の騒音や振動があって、耳栓をしないと寝られない状況が続きました。ストレスなのか、硫化水素のせいなのか、直接的なことはわかりませんが、高血圧から低血圧になり血圧が40~70に下がりました。

これ以上下がると命にかかわるからと、これまで飲んでいた薬をやめるように言われ、今は120くらいになりました。医者も原因がわからないということでした。硫化水素の影響があるかもしれないが、そうとは言い切れないとのことでしたが……。体調も良くなかったので、長らくお店もやれない状態が続いていました」