全産業平均の8時間分を稼ぐには11時間以上も必要

ドライバーが「もっと働いて稼ぎたい」と考える理由は、具体的な数字からも浮かび上がる。

2026年3月に閣議決定された「総合物流施策大綱」によると、2024年の全産業平均の年間所得は527万円。それに対して、大型トラックドライバーは492万円、中小型トラックドライバーは437万円だった。

長時間労働と低賃金が課題となっているトラック運送業界
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しかも、年間の平均労働時間は全産業の2052時間に対し、大型が2484時間、中小型が2424時間と、いずれも大幅に長い。

森田氏は、この所得と労働時間から計算した「1時間当たりの収入」に注目する。

「年間所得を年間労働時間で割ると、全産業平均は1時間当たり約2568円になります。ところが、大型トラックドライバーは約1981円、中小型ドライバーは約1803円です。

全産業平均との差は大型で約587円、中小型では約765円にもなります。さらに、全産業平均の人が8時間働いて得る約2万544円を稼ぐためには、大型ドライバーなら約10時間22分、中小型ドライバーなら約11時間23分も働かなければなりません。一部のドライバーが長時間働きたいと考える背景には、こうした収入格差があるのです」

集英社オンラインの取材で、30代の男性ドライバーは「やればやるほど稼げるというのが、この仕事の魅力の一つだった」と語っていた。

しかし、森田氏はこうした考え方について、厳しい見方を示す。

「『ドライバーは働けば働くほど稼げる仕事だったのに、労働時間を短縮されたので稼げなくなった』という考え方は、幻想にすぎません。実際には、働けば働くほど十分に稼げていたのではなく、長時間働いて、ようやく全産業平均の収入に近づいていたというのが実態なのです。

本来、問題にすべきなのは労働時間が短くなったことではなく、長時間働かなければ他産業並みの収入を得られない賃金水準そのものです」