意味は同じだがJR駅で最多画数の文字を使う

現在、「とどろき」と読む駅は五能線のほかに、東急電鉄大井町線に等々力駅がある。和歌山県の野上電気鉄道にも「動木」と書いてとどろきと読む駅があったが、1994(平成6)年に駅も鉄道も廃止された。また、とどろきという言葉に一般的に当てられる「轟」を当てた駅も、えちぜん鉄道勝山永平寺線に「どめき」駅として存在する。

青森県JR五能線 驫木駅
青森県JR五能線 驫木駅
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意味はすべて同じだ。しかし見事に、場所により鉄道により、当てている漢字が違うところが面白い。「とどろき」「どめき」とは、轟音のこと。海鳴り、あるいは川の急流などからいつも響いてくる大きな音が、いつしかその土地を表す名前となり、地名になり、駅名に採用されたのだった。

驫木駅の場合、その音が非常に大きかったので、3頭の馬も驚いたから驫との字を当てたといわれる。冬の強烈な風、日本海の荒波が想像できる。駅のすぐ裏手は海だ。なお「驫」は30画あり、日本の鉄道駅名に使われている漢字の中で、もっとも画数が多い。

元はやはり駅が置かれた周辺の集落の名前だ。2002(平成14)年春の青春18きっぷのポスターに登場した駅とご記憶の向きもあろう。

開業は1934(昭和9)年。以来、普通のみが停車し、わずかな客が乗り降りするだけの駅として今に至っている。もちろん無人駅で、風情のある木造駅舎が健在だ。

「とどろき」駅の中で、都会すぎて? 異色なのが東京都世田谷区にある東急の等々力駅であろう。江戸時代は荏原郡等々力村であった。その由来は、等々力渓谷(今も駅近に存在する)に流れ落ちる滝の音との説が有力だ。等々力の地名は、多摩川を挟んだ対岸の神奈川県の川崎市中原区にもあり、Jリーグの川崎フロンターレのホームスタジアム・等々力陸上競技場などが有名だ。ほかにも、世田谷区側と川崎市側に同じ地名がある例がいくつもある。東急田園都市線にも、世田谷区側に二子玉川駅。川崎市側に二子新地駅が設けられている。

これはもともとは同じ村であったのが、多摩川の氾濫で流れが変わったり、治水事業の結果、分断されたため生じた。明治の末に多摩川に沿って東京と神奈川の府県境が引き直され、それぞれ所属する自治体を変えている。

文/土屋武之

『全国駅名、ほんとうの話』(交通新聞社)
土屋武之
『全国駅名、ほんとうの話』(交通新聞社)
2026年10月15日
1210円(税込)
214ページ
ISBN: 978-4330052267
日本全国にはJRや私鉄を含め約1万弱ほどの駅があり、それぞれに独自の駅名が付けられています。
駅名は単なる整理番号とは違い、地域の歴史や地形、文化、人々の営みと深く結びついた“地域の物語”を映し出す存在。
しかし日常的に利用する駅であっても、その名前の由来を知らないまま通り過ぎている人は多いと思います。

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