高収入の裏にある建設現場の“きつさ”

「お金だけで選べる仕事ではないです」

そう振り返るのは、関西地方で大きな工場などの外壁をつくる仕事に携わっていた松本さん(仮名・30)だ。友人の紹介で、無資格・未経験から建設業界に飛び込んだ。

「当時は手元にお金がなく、とにかくすぐに働かなければいけませんでした。日当は1万3000~1万4000円で、休みは日曜日だけ。月の手取りは26~28万円ほどでした。賞与は年3回あり、出張手当と賞与が重なった月は60~70万円もらったこともあります」

松本さんが携わったのは、工場などの外壁にパネルを取り付ける工事だ。朝6時ごろに会社へ集合し、現場で午後5時まで働き、帰社するのは午後6時すぎ。地方の半導体工場の建設工事にも参加した。

「最初は3カ月くらいで帰れると聞いていたのですが、結局半年くらいいました。現場が終わるまで帰れないんです。子どもが生まれてすぐに出張に行った人もいましたね」

工事のイメージ
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出張中は日当に2000円が上乗せされ、夕食代も1日2000円支給された。職長を務める先輩が、賞与の支給月に「今回、3桁ある」と話していたこともあったという。

「その月は100万円以上もらっていたということだと思います。社長も年収1000万円は超えていると思いますね。ただ、その分、仕事はきつかったです」

現場では暴言を浴びせられたり、手を出されたりすることもあったという。作業中には、長さ約1メートル80センチの外壁パネルが落下し、手に当たって出血したこともあった。

「結構血が出ましたが、病院には行かず、次の日も普通に働いていました。労災のことを言い出したら、その場所に居づらくなるんです。『死ね』と言われるのも日常でした。

厳しいから、若手の定着が難しかった。現場は40~50代が中心で、僕より年下の20代が入って、1年続いたのは見たことがありません」

同じ会社にはインドネシア人の技能実習生も4人ほどいた。松本さんによると、技能実習生の日当は自身より低かったという。ただし、経験年数や担当業務の違いなどもあるので、賃金差の詳しい理由については分からない。

「それでも出張手当や食費が出て、ボーナスもあるので、会社としてはちゃんとしている方だったと思います。この仕事は職人だから稼げますが、その分、きつさもある仕事ですね」