一般組が強くなければ「早稲田の良さ」は出ない

――駅伝主将の小平敦之選手は、系属校の早稲田実業高出身の“一般組”です。彼のように主力に名前を連ねる“一般組”もいる一方で、今季の1、2年生はスポーツ推薦の選手が全員、夏の選抜合宿に参加していました。スポーツ推薦の選手が順調に力をつけていくのはもちろん良いことだと思いますが、そうなると、“一般組”の役割は、これまでとは変わってくるのでしょうか。

より高いレベルが求められますね。実際に、一般入試から入ってきた選手のレベルも上がってきています。私が来た当時は(5000m)15分を切れない選手もいましたが、今は入部基準が14分40秒まで上がりました。でも、それ以上の走力がないと、なかなかチームの練習には付いていけないので、チーム全体のボトムのレベルは上がっています。

ただ、そういう積み上げができて、頑張れる選手がいないと、早稲田の良さは出てこないと思っています。

8月の妙高合宿での駅伝主将・小平敦之(写真/和田悟志)
8月の妙高合宿での駅伝主将・小平敦之(写真/和田悟志)

今でいうと、1年生の和田寛、若狭奏汰は指定校推薦で入学した選手ですが、学業も大変ななか、合宿でも選抜メンバーに食い込んできました。2年生だと、冨田拓臣が今非常に頑張っていますし、斉藤天紀はこの春までは一番下だったのに、今ぐっと力を付けて(箱根駅伝にエントリーできる)16番まで来そうになってきています。

チームの主力選手たちが世界の舞台で活躍するのを見て、彼らは『自分も努力して、いつかそんな舞台に立ちたい』と刺激をもらっているのでしょう。私も、早稲田に入学したばかりの頃、武井隆次君[櫛部静二(現・城西大監督)、花田監督と共に『早大三羽烏』と称された]の活躍を見て“頑張ろう”と思ったものでした。

一方で、彼らが頑張ることで、上の方の選手たちも“自分ももっと頑張んなきゃな”っていう雰囲気になっています。

こんなふうに、それぞれの頑張りを認め合えるチームになっているのもいいなって思って見ています。

――昨季も、一般組では、宮岡凜太選手や伊藤幸太郎選手が豊富な練習量をこなしていました。

宮岡も伊藤も良かったんですよ。でも、最終的にケガで箱根のスタートには立てませんでした。彼らももちろん考えて取り組んでいましたが、たんに練習量をやるだけでは故障のリスクも大きいので、ちゃんとリカバリーも踏まえた上で、バランスよく取り組むことが大事ですね。

一方で、駅伝のメンバーに食い込むには、何か殻を破るようなこともやらなきゃいけない。周りから「そこまでやって大丈夫か?」と思われるほど練習を積みつつも、ケガのないように、ということが大事です。今後、そういう選手が出てくると、もっとチームが強くなると思います。