アナウンス職でなくてもサッカー

私の場合は「女性でもサッカー実況がやりたい」これが太い太い軸でした。

当時、サッカー実況は男性が担当するものという空気が今よりずっと強く、女性が実況を任される例はほとんどありませんでした。だからこそ「女性の自分だからこそできる実況がしたい」と、就活中はずっと話していました。

正直アナウンサーになること自体には大きなこだわりがなく、サッカーに関わる仕事ができる会社に就職したいと思っていました。

今年のW杯も現地メキシコで観戦した三谷さん 写真/本人提供
今年のW杯も現地メキシコで観戦した三谷さん 写真/本人提供

テレビ朝日の最終面接でも、面接官とこんな会話がありました。

「もしアナウンサーがダメだったらどうしますか?」

「サッカーに関わりたいので、記者職でもう一度採用試験を受けます」

「仮にテレビ朝日の総合職も落ちてしまったら?」

「サッカー中継が強い他局を受けます」

「では、他局も全部ダメだったら?」

「新聞・メディア各社を受けます!」

「マスコミ全部ダメだったらどうしますか?」

「KIRINに就職して、チャレンジカップの担当がしたいです!」

(面接官一同爆笑)

「本当にサッカーがやりたいんですね…笑」

これは、職種を具体的に詰めていく話とは少し違います。どんな角度から聞かれても答えがブレない、太い軸があるかどうか。面接官に伝わったのは、きっとその熱量だったのかもしれません。

具体的に希望する職種やポジションは、自分自身を深く掘り下げて考え抜いた先に、自然と見えてくると思います。

私の場合は、口を開けば「サッカー」の話ばかり。自己PRも、志望動機も、全部サッカーでした。聞こえ方によっては「視野が狭い」「他に何もないのか」と思われそうですが、実際は逆だと思っています。

・その会社で、具体的にどんな仕事をしたいのか

・その仕事は、どんな力があれば成立するのか

・その力を、自分のどの経験なら証明できるか

「我慢強い」も「負けず嫌い」も、それだけでは印象に残りにくいと思います。

けれど「この会社でこの仕事をするなら、この能力が必要である」という話の道筋がついた瞬間、急に説得力を持つようになります。

面接官が知りたいのは「あなたがどんな人か」というのはもちろんのこと、「うちの会社に入ったら、その人がどう活躍できるか」そこを具体的に伝えることができれば、会社に入ったあとのことをイメージさせられます。