70年ぶりの学部開設…学生団体が指摘する「学費値上げ案との矛盾」
〈今からでも遅くはない、撤回を。〉
東大の新学部について、Xにこう投稿したのは「東京大学文学部学生有志会議」だ。
同団体は、2024年に東大の学費値上げをめぐる報道をきっかけに結成された「文学部学生連絡会」を前身とする、学生有志の団体だ。前身団体は学費値上げに反対する全学緊急集会などを主催し、同団体も現在、学費問題を中心に、学内の諸問題について意見交換を行なっている。
東京大学は2024年9月、教育・学修環境の改善などを目的に、2025年度以降の学部入学者の授業料を年額53万5800円から64万2960円に引き上げることを決定した。同時に、世帯収入600万円以下の日本人学部生を対象とした授業料の全額免除など、学生支援の拡充も発表している。
一方、こうした学費値上げと新学部の設置については、当初から学生や教員の間で疑問の声が上がっていたという。同団体の担当者はこう話す。
「当時から、学生や教員の間で根強くあったのは、学部新設と学費値上げ案との矛盾という問題です。大学の財政が危機的状況だから学費値上げするというのに、全寮制(1年次のみ、それ以降は任意)・海外教員を招聘する学部を新設して、莫大な予算を使うというのは矛盾ではないか。
また、Webサイトを見るととにかく内容が不明で杜撰だとも指摘されていました。胡散臭いコンサルのような、非学問的なカタカナ語が乱舞していて、『本当に学問なのかこれ』という反応でした」(東京大学文学部学生有志会議担当者、以下同)
一方、東大は新学部について、デザインの手法と人文・社会科学、自然科学などの幅広い知識を組み合わせ、複雑な社会課題の解決に取り組む人材の育成を目指すと説明している。また、新学部の入学定員は100人で、その設置に伴い既存学部の定員も見直される。文学部では53人、農学部では40人、医学部では14人が削減される予定だ。
こうした大学改革が進むなか、学生団体が疑問視するのは、新学部の教育内容だけではない。
東京大学は、文部科学省が進める「国際卓越研究大学」制度の認定を目指してきた。同制度は、大学ファンドによる支援を通じて、世界トップレベルの研究大学を形成することを目的としているが、東大は初回公募で認定候補に選ばれず、第2回公募でも審査が継続されている。
そうしたなかで公表された新学部について、同担当者は「留学生が増えることそれ自体は、キャンパスの国際化の点で歓迎すべきこと」とした上で、次のように指摘する。
「『価値創造学部』の名が表すように、学問領域が不明な点が大きいです。国際卓越研究大学認定のための、無理やりの国際化施策なのではないかという憶測は2024年から学生の間で飛び交っていました。
そもそも国立大学に、学問領域として確立されていない部門を作るのが正当なことなのか。疑問点は多いです」













