からい料理で発汗、でも痩せるわけじゃない
「その麻辣湯は、おそらく800 kcal前後くらいあると思います」
筆者が実際に食べた麻辣湯の写真を見て、そう語るのは管理栄養士の原野志保さんだ。
800 kcalといえば、一般的なカツ丼1皿にも匹敵する。しかも、今回は具材を控えめに選んだつもりだったが、それでも会計は2000円を超えた。
具材の選び方によって、カロリーも値段も大きく変わる。麻辣湯がヘルシーだと思われる理由のひとつが、春雨の存在だろう。ラーメンやうどんよりも軽い印象があり、ダイエット食として販売されている春雨スープも多い。
「確かに春雨は、中華麺と比べればエネルギー量は低めです。ただし、春雨だからといって、たくさん食べてもよいわけではありません」(原野志保さん、以下同)
さらに注意したいのが、カニ団子や魚介団子などの加工食品だ。
「魚介団子などの加工食品には塩分も含まれているため、基本的には1杯につき“楽しみとして”1つ程度に抑えてほしいところです。また、揚げパンは炭水化物なだけでなく脂質も多く含みますし、スープの種類によっては油も多く使われています。管理栄養士の視点からいえば、できれば避けたい具材です」
麻辣湯に健康的なイメージが広がった背景には、日本でブームの火付け役となった七宝麻辣湯が、創業当初から「薬膳スープ」を特徴として打ち出し、女性客を中心に支持を広げてきたこともあるだろう。
その後、コロナ禍以降に中国系チェーンや個人店が増え、ブンモジャや揚げパンなど多彩な具材を楽しむ食べ方も広がった。
とはいえ、麻辣湯はからい。食べ進めるうちに額から汗が流れ、食後には身体が熱くなる。“これだけ汗をかけば、脂肪も燃えているのではないか”と期待したくなるが、原野さんによると、発汗と体脂肪の減少は別の話だという。
「からいものを食べて汗をかいたからといって、その汗の量に比例して体脂肪が燃焼しているわけではありません。汗は主に、体内の熱を外へ逃がすための反応です。一時的に体重が減ったとしても、その多くは水分が失われたことによる変化です」
唐辛子に含まれるカプサイシンには、食後の熱産生を促し、一時的にエネルギー消費を高める可能性があるとされる。ただし、麻辣湯を食べるだけで体重が落ちるほど、大きな効果ではない。
「からい麻辣湯を食べたからといって、痩せるわけではありません。脂肪燃焼を期待するよりも、具材の組み合わせや1杯全体の量を意識することが大切だと思います」













