音楽準備室は、音楽担当教諭以外は誰も知らない空間

音楽を担当する教諭が、学校で何を洗濯して乾かす必要があるのか。高草木政浩校長と北区の福田晴一教育長が6月28日に入院中の音楽担当教諭を訪ねて聞き出した答えが、「私服」だった。

「音楽教諭はおおむね朝6時頃に出勤しており、以前から家庭科室の洗濯機を使って私服や金管バンドなどで用いていた清掃用のタオルなどを洗濯し音楽準備室で干しており、火災のあった19日同日は自身の服を洗濯して干していたことを確認しました」

7月2日夜、山田加奈子・北区長らと並んで火災以来3回目の記者会見を行なった高草木校長はそう明らかにした。

校長の説明では、音楽担当教諭は校舎1階にあって施錠されていない家庭科室で洗濯した私服を、4階の音楽準備室まで運び、干していたという。

また同教諭は私物のサーキュレーター数台と電気ストーブ、電源タップ、ハンガーを持ち込んでいたことも認めている。

7月2日、記者会見で説明する東京都北区立滝野川第三小学校の高草木政浩校長(撮影/集英社オンライン)
7月2日、記者会見で説明する東京都北区立滝野川第三小学校の高草木政浩校長(撮影/集英社オンライン)

高草木校長らによると音楽準備室にはエアコンがない。学校では、寒かったり暑かったりするときに私物の電気ストーブやサーキュレーターを持ってくることはやむを得ないとみなされているという。また楽器を拭いたタオルを洗濯して干す事情があったことについては、会見に出た区幹部は同情的だった。

だが、私服を学校に持ち込み洗濯して干すことについては、さすがに高草木校長も、

「やはり服務上、学校管理の面で適切ではなかったと受け止めています」

と言うしかない。そしてこうした行動が可能だったのは、

「音楽教諭が出勤時間がとても早かったというところで、他の教員と顔を合わせることがなかった」

と説明する。音楽担当教諭の告白に前後し、学校と教委は全教職員に2回にわたって音楽準備室の状況を知っていたかたずねたが、洗濯物が干されていることを含め部屋の様子を知っているという職員は一人もいなかったという。

結局、音楽準備室は学校でただ一人の音楽担当教諭以外は、誰も中を知らない空間になっていたことになる。