映画『シャイニング』のホテルの場合
その伝で言うと、映画『シャイニング』の舞台となったホテルは、まさに人を蝕むモンスターとしか言いようのない物件だ。
ここで「シャイニング」のあらすじを説明すると……。
アルコール依存症を患う小説家志望の主人公ジャックが、冬のあいだだけ閉鎖して営業停止している山頂のホテルの管理人をつとめることになる。そのホテルというのが、過去に管理人が妻子を殺したという曰く付きの物件。それと知りながら、ジャックは妻子と共に住み込んだあげく、自身も悲惨な事件を起こしてしまう。
そうなのだ。このホテルは、住む人を不幸にする「凶宅」なのである。
不幸を呼ぶ家という概念は、洋の東西を問わないんですね……。
作品の中で「呪われたホテル」(スティーヴン・キング、深町眞理子訳『シャイニング 下』)と呼ばれているこのホテルが、なぜ凶宅になったのかというと……このホテルで起きたスキャンダルや事故で死んだ人間の「念」が、ホテル自体に力を持たせ、生きている者(主人公のジャック)に取り憑いて家族を殺すように命じ、その霊力をいっそう強化しようとしている、という設定だ。つまりは過去の度重なる悲劇が、今の悲劇を呼んでいる。
加えて、凶宅の餌食にされる者は、ジャックのように、アルコール依存症で暴力的な父と、「意気地のないめそめそ女」の母のもとで育ち、自身もアルコール依存症で暴力的という心の闇と心の隙、弱さと不満を持つ人間であることが浮き彫りになる。
凶宅もといモンスター物件も、相手を選んで襲っているわけだ。
もしもジャックが、やましたひでこのような、あるいは三善清行のような人物であったら、そこは浄化されていたのではないか。この発想は、私の考える事故物件的に大事なポイントとなってくるのだが……そもそもなぜ凶宅というものができるのかについて、考えてみたい。













