小説を書くこんなに面白い仕事はないですよ
新庄 ミステリーは、最初に問いがあって、アンサーがあるわけじゃないですか。でも、あらゆる物語も、ある種のテーマがどこかの段階で掲げられて、それに対するアンサーがある。それはラストシーンかもしれないし、主人公が逡巡のすえに選んだ何かしらの言動だったりするかもしれない。課題解決という意味で僕もミステリー的な作りを意識する時はあるんですが、ミステリーと呼ばれ得るものを書けるかどうかといえば、僕にはたぶん無理。結城さんはずっとミステリーが好きで読まれてきたんですか?
結城 そうですね。ただ、将来は小説家になりたいなと思ったきっかけは、中学三年生の時に読んだ高見広春さんの『バトル・ロワイアル』です。中学三年生の同級生同士が殺し合う? 何やそれ、と思って読み始めたらめちゃくちゃ面白くて。じゃあ自分でも書いてみようと、卒業文集で自分が所属しているサッカー部員たちが高校進学をかけて殺し合う小説を書いたんです。それがむちゃくちゃウケたんですよ。同級生だけじゃなくて、保護者からも「家事をほっぽり出して最後まで読んじゃった」みたいな感想が親経由で伝わってきた。寛容な学校でした(笑)。その時の喜びが、作家としての原点というか、人生を決定づけたという気がします。
新庄 僕は、純文系のエンタメが好きなんです。沢木耕太郎さんの『深夜特急』だったり、村上龍さんの『五分後の世界』だったり。吉村昭さんも好きなんですが、吉村昭って実は芥川賞に四回くらいノミネートされているんですよね。お話が面白いのも大事なんですが、文体というんですかね、その文章の世界に入っているのが好き。現実からの逃げ場というか、自分にとってすごく安心できる場所は本の中だった気がします。
結城 本を読んでいる間は一人になれる、というのは読書の一番の魅力ですよね。
新庄 それを書くっていう、こんなに面白い仕事はないですよと言いたい。
結城 自分もなりたい、と下の世代の人たちに思ってもらえる職業でありたいですよね。小説家って夢があるじゃん、その世界に自分も飛び込んでみたいなって。そう思ってくれる人が増えるように頑張らないといけないなと。
新庄 本が売れないとかグチってる姿ばっかり見ていると、誰も目指さなくなりますからね。小説はまだまだいけるよ、楽しいよ、稼げるよ、と。少年少女たちよ、YouTuberよりこっちカモン、と。
結城 子どもたちの「なりたい職業ランキング」で、一位はだいぶ厳しそうですけど、小説家が一五位ぐらいには入ってきて欲しいですよね。
新庄 いやいや、ナンバーワンを目指しましょう。
結城 目指しますか!
新庄 お願いします。期待しています。私はこんな感じなので日陰でやっていきますけど、結城さんみたいに華のある人がばんばん表に立っていただいて……。
結城 今、急にハシゴを外されましたけど(笑)。いつか一位になるその日まで一緒に走り続けましょう。














