芸人の世界で気づいた「イジり」と「いじめ」の境界線
──学生時代、“身長が小さい”というだけで大変な経験をされています。現在では自身の見た目にどのように向き合っていらっしゃいますか?
芸人になってからは大きく変わりましたね。大学では「ツッコミがうまい」って言われていて、自分のことを面白いと思って芸人になったんですよ。でも、人力舎のお笑い養成所に入ったら自分よりツッコミうまい人もいるし、「全然センスないじゃん」って思い知らされて。
入学してから4か月後くらいに、はじめてお客さんの前でネタをやるライブがあるんですけど、それまで授業で面白かった人でもいざ本番になると全然ウケないんです。自分も不安だったんですが、舞台に出ただけで、僕の見た目だけでドッとウケて。
──ナメられたときの対処も、変わってきましたか?
かなり変わりました。今はもう「ナメられること前提」で、その状況をどうひっくり返すかを考えています。
たとえば、バイトしている芸人BARで、お客さんに1万円を見せながら「何か面白いことしてよ」と言われたとき、1時間近く「ちょーだい!」と叫び続けたことがあって。最終的に「もういいからやめてくれ」と2万円もらいました。
相手に下に見られたときほど、「この人、普通じゃないな」と思わせたほうが勝ちなんですよね。急に頭を叩かれたときに「10点!」と返すとか。反応が早いと、リスペクトに変わることもあるんです。ナメられることは、僕にとって仲良くなれるチャンスでもあるんです。
──最近は「イジり」と「いじめ」の線引きが難しくなっているとも言われます。『水曜日のダウンタウン』出演時のドッキリの演出でも「かわいそう」という声があったそうですが、ご自身の経験から、一般的な「いじめ」と芸人の世界の「イジり」はどんなところが違うと感じていますか?
僕が思う芸人の世界の「イジり」と一般的な「いじめ」の一番の違いは、そこに信頼関係があるかどうかです。
芸人の世界では、相手をナメているときではなく、「この人なら面白くしてくれる」と信頼しているときにイジるんです。だから、ドッキリも含めてイジられるというのは、僕にとっては信頼の証だと感じています。
僕は見た目的に保護対象になりやすいんですけど、こう見えて気が強いですし、性格が悪いらしくて同期の大半から嫌われてます(笑)。小さくてナメられてきた経験が、芸人の世界ではそのまま強みになるなんて最高なんです。
ただでさえイジられやすいのに、テレビの演出で「かわいそう」と思われるだけで仕事がこなくなるなんて、僕の人生、めちゃくちゃ損じゃないですか。
まだテレビにもほとんど出られていませんが、どんな形でもウケたらうれしいので、僕を見たときは安心して笑ってください!
取材・文/福永太郎
※本記事はりょうちゃんさん個人の経験に基づくものです。いじめを受けている場合は、ひとりで抱え込まず、学校・保護者・公的相談窓口など周囲に助けを求めてください。













