ヤンキーのプロレス技を“腕ひしぎ”で返した高校時代

──高校に進んでから、状況は変わりましたか?

進学した高校もあまり治安が良くなくて。でも相変わらず目立ちたい気持ちがあったので、自己紹介で変顔をしたり声色を変えたりしたら、それがきっかけでまた目をつけられてしまって。休み時間になるとヤンキーからプロレス技の練習台にされるような日々でした。

中学のころと違って、もう顔はそんなに可愛くなかったので、今度は完全に自力で解決策を探すしかなかったですね(笑)。

中学時代のりょうちゃんさん 写真/本人提供
中学時代のりょうちゃんさん 写真/本人提供

──どうやって状況を打開していったのでしょうか。

あまりこれといった解決策はないのですが、精神的に折れたらそのままやられ続けるだけだとわかっていたので。腹パン(お腹を殴られること)とかされても、「効かない」と言い張って、家では腹筋を続けて暴力に耐えられるように訓練していました。

そのうえで、ずっと反撃のタイミングをうかがっていて。

ある日、技をかけられた瞬間に隙ができたので、家で練習していた腕ひしぎ十字固めを決めたんです。そしたらクラスから歓声が上がって、そのあとしばらくはチヤホヤされるようになりました。

──そこから関係性は変わっていきましたか?

一時的には変わるんですが、みんなすぐに飽きてくるんです。それでまた「やっぱ、お前だ」とターゲットにされる。次はハイキックの練習台にされて、今度は回避の練習をして、蹴ってきた足をつかんでまた歓声が上がる、という感じで笑いを取っては標的を回避するという繰り返しでした。

──報復への怖さはなかったのでしょうか。

僕の経験ですが周りが盛り上がっちゃえば、報復につながることはないんです。あと、高校1年のときに、友達とふざけていただけなのに、僕の見た目のせいで先生にはいじめに見えてしまって、友達が停学になってしまったことがあって。

それ以来、「小さいからこそ弱いところを見せてはいけない」とどこかで思うようになりました。だから、気持ちを強く保つことは意識していましたね。

あと最終的には、“何を考えているかわからない存在になる”のが一番効くと気づいたんです。感情を出さずに、相手の目を見て無言で一歩前に出る。そんなことをしていたら、自然と距離を取られるようになりました。結果的に、誰も関わってこなくなって平和になりました。

いじめてきたクラスメイトの顔は一切覚えていませんし、誰にでもできる方法ではないかもしれないですが、今現在いじめられている人にも「気持ちを強く保ってほしい」ということは伝えたいです。