“麺”を低コストで仕入れられるシステム…吉野家はラーメン事業を強化

三輪氏によると、「まぜそばや油そばはコメに比べて低コストであり利益率が高い」上に、「700円以上の価格帯でも注文してもらいやすい」という“うまみ”のある商品だそうだ。

また、吉野家にはより価格が抑えられるノウハウがあるそうで──。

「吉野家ホールディングスは昨年5月に発表した中期経営計画で、『ラーメン家 がんくろ』『ばり嗎』などのラーメンブランド強化を発表し、5年で500店舗、ラーメン売上目標を現在の5倍である400億円、2034年度にラーメン提供食数世界No.1を掲げました。

強化中のラーメン事業で開発したノウハウや食材を吉野家本体に応用したり、ラーメンブランドやはなまるうどんで食材を共通化したりすれば、より大量に仕入れられコストを抑えられるのです。

さらに、吉野家の麺提供で得た現場のノウハウを、今度はグループのラーメン店側にフィードバックし、効率的に利益を上げるための“壮大な実験場”にする意味合いも強いでしょう。

こうしたグループ全体の親和性やスケールメリットを考えて、吉野家本体でも麺メニューの強化に踏み切ったのだと考えられます」

ラーメン事業の強化を掲げる吉野家ホールディングス。国外店舗ではハラルスープの対応など世界に目を向けている(写真/吉野家ホールディングス公式HPより)
ラーメン事業の強化を掲げる吉野家ホールディングス。国外店舗ではハラルスープの対応など世界に目を向けている(写真/吉野家ホールディングス公式HPより)

すき家を運営するゼンショーホールディングスにも、仕入れコストを抑える独自のシステムがあるという。

「ゼンショーグループにはMMD(マス・マーチャンダイジング・システム)という、原料調達から製造・物流・販売までを一貫して管理する強力なサプライチェーンを持っています。

また、すき家やなか卯といった牛丼店以外にも、ラーメン専門店の伝丸、はま寿司、ジョリーパスタなど幅広い外食業態を展開しているため、グループのスケールメリットを最大限に活かし、仕入れコストを徹底的に抑えてリーズナブルに麺メニューを提案できるという強みがあるのです」

しかし、小麦価格も今後はどうなるか分からない。

現在の世界情勢や金融経済を見ると、インフレ圧力は一層強まっている。

足下では1ドル160円前後と依然として円安が止まらず、ホルムズ海峡封鎖問題によってエネルギー価格が上昇している。

さらに、今夏はスーパーエルニーニョ現象による“歴史的な猛暑”も予想され、小麦の主要輸出国であるオーストラリアやアメリカでは不作が懸念されている状況だ。

小麦の自給率は令和6年度の概算でわずか16%と、ほとんど輸入に頼っている(写真/農林水産省『総合食料自給率(カロリー・生産額)、品目別自給率等』より)
小麦の自給率は令和6年度の概算でわずか16%と、ほとんど輸入に頼っている(写真/農林水産省『総合食料自給率(カロリー・生産額)、品目別自給率等』より)