巨象の足を一本ずつ切り落としていく
今、ウクライナが見せているのは、戦争の定義そのものの書き換えだ。物量で勝る者が勝つのではない。
より速く適応し、より賢く非対称な手段を見つけた者が、巨象の足を一本ずつ切り落としていく。安価で自律的な無人システムが、はるかに巨大な正規軍の防空網をすり抜け、その兵站と経済の根幹を体系的に崩していく――この現実を、私たちは目撃している。
それは遠い国の出来事であると同時に、これからの世界の戦争がどう形を変えていくのかを示す、最も鮮明な実証実験でもある。
「ドローン優位」を確立したウクライナの戦術は、プーチン政権の経済基盤を揺るがすだけでなく、従来の軍事常識を根底から覆した。
圧倒的な物量を誇るロシア軍が、安価な無人機の群れに翻弄され、頭上からの「黒い油の雨」になす術もなく立ち尽くす姿は、まさに新時代の戦争の縮図と言える。
持たざる者が知略と技術で巨象を討つ――。戦場の主導権が完全に移行しつつある中、このハイテク非対称戦の結末は、ウクライナの勝利のみならず、今後の国際秩序と地球規模の安全保障の未来をも決定づけることになるだろう。
文/小倉健一













