ITバブルもそうだった。リーマンショック前もそうだった
市場で最も危険なのは、皆が同じ未来を信じ始めた時である。ITバブルもそうだった。リーマンショック前もそうだった。皆が「今回は違う」と言い始めた時、市場は最も脆くなる。今回も同じだろう。
AI革命そのものは本物である。世界を変える。仕事を変える。国家を変える。しかし、それとAI関連株が永遠に上がり続けることは全く別問題だ。むしろ私は逆に思う。今のAI相場は、世界経済の弱さを覆い隠す巨大なメッキになっているのではないか、と。
現実には、世界中で中間層は疲弊している。猛烈なインフレ、住宅価格高騰、実質賃金低下、物流コスト上昇、エネルギー不安、債務膨張、更にAIデータセンター急増による電力不足、水不足、送電網問題まで始まっている。
スーパーでは値札を見て商品を棚へ戻す光景が珍しくなくなり、地方ではガソリン価格そのものが生活コストになっている。電気代、通信費、外食、教育費、保険料。生活のあらゆる場所で「静かな値上げ」が続いている。
日本円の価値は歴史的低水準に沈み込んでいる
それでも市場だけは、AI革命で未来は明るいと言い続けている。つまり現実社会は、決して強くない。それなのに、株価だけがAI期待で爆上げしている。私はそこに、バブル末期特有の危険な静けさを感じる。
日経平均は史上最高値を更新する。しかし、その一方で、日本円の価値は歴史的低水準に沈み込んでいる。この異様な光景を、「我々は本当に豊かになった」と言ってよいのだろうか。
AI関連株は上がる。半導体株も上がる。だが、国そのものの購買力は落ちている。つまり今、日本市場で起きていることは、国力低下と株高の同時進行なのである。
これは極めて危うい。なぜなら、市場は最後まで幻想を買い続けるからだ。そして、幻想が最も膨らんだ瞬間に、相場は必ず逆回転を始める。
先日、日本へAIエンジンを最初期に持ち込んだ友人と話していた時、こんな言葉が返ってきた。彼は現在、日本を代表する企業群ともAI戦略を議論しているという。その彼が静かに漏らした。













