姉の死で仏教に目覚め…
──古舘さんの死生観が変わったのは、早くに亡くされたお姉様の影響が大きいですか。
大きいです。姉は僕が36歳のときに、がんで亡くなりました。もちろん僕自身の落胆もすごかったけれど、両親のそれを目の当たりにしたとき、「俺は今まで何をしていたんだろう」と心の乳離れをせざるを得なかったんです。
姉の葬儀の日、斎場から焼き場まで行く途中で、両親は「あとは長男の伊知郎に任せたから」と途中にもかかわらず帰っていきました。
2人で背中を寄せ合ってとぼとぼと坂を登っていき、姿が小さくなっていくのを見て、最初に産んだ我が子の死という悲しみの途方もなさがわかったんですよね。
──古舘さんにとって、死はどのようなものですか。
姉のあと、父が死に、母が死に……と身内の死を僕は経験します。自分が死んだとき、つまり一人称の死はきっと意識することができないから、他者という二人称の死こそリアルでぐっときますよね。
僕は姉の死以降、仏教に惹かれていくのですが、それでもまだ死はとても怖い。よく幼い頃、寝るときに天井のシミが何か怖いものに見えて、布団のなかで死について考えたりしたじゃないですか。いまだに、その感覚を引きずっています。













