「揺れている自分でいい」と思えたら一歩踏み出せた

1年前から月に2、3回スキマバイトを始めた。フラッシュバックがなくなったわけではないが、起こる頻度が減ったことが後押しをしてくれた。

「突然、パッと体調が良くなるわけではなくて、グラデーションで揺れ動くんですよ。だから先のことはわからないけど、明日だけなら働けるんじゃないかと思って。

朝の5時に、その日の夕食時間帯の皿洗いの仕事に申し込んで寝ました。本当に勢いですね。5年ぶりの仕事だったけど、店長から『すごく助かりました』と言われて、ああ、まだ社会に居場所があるのかなと」

(撮影/集英社オンライン)
(撮影/集英社オンライン)
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今も、大変な状況は続いている。それでも、坂上さんの表情は明るい。

「ひきこもっていた数年で一生分くらい泣いたけど、ダメなときがあってもいい、揺れている自分でいいと思えるようになった。それは、めちゃめちゃ大きな一歩ですね。

気持ちの面では脱出したと言えるかな。最初は“親のための私”からの脱出。次は“ちゃんとした自分”からの脱出。

今の私はタンポポの綿毛みたいにほわほわ漂っていて、どこに着地するかわからないけど、着地点が見つかってないリアルをそのまま伝えるのもいいのかなと。

生きていれば、これからも揺れ続けると思うので(笑)」

やわらかな笑顔から、自分の生き方を見つけた自信が伝わってきた。

〈前編はこちら『「一緒に死んでほしい」母に川へ沈められ…“機能不全家族”で育った30代女性をひきこもりにした性被害の記憶』

取材・文/萩原絹代