持ち家は賃貸よりも「まだマシ」な選択

女性向けの住宅仲介や売買を専門にするある事業者は、中年期に差し掛かった女性から、中古マンションなどの購入相談が入ることが増えたと話す。

「60歳手前で単身だと、おそらく賃貸住宅の選択肢がなくなるからね」というのがその理由だ。しかし、持ち家を購入しても、一人でそこに住み続けられるのかという不安は常につきまとう。

自宅を担保にして老後の生活費を借り入れるリバースモーゲージという融資制度もあるが、その利用は低調である。

この仕組みは、金利が上昇したり不動産価値が下がったりといった外的な要因に強く影響を受けること、常に担保割れのリスク(貸付が止まり、利子のみを払い続ける可能性があること)を想定しておく必要があると言われている。

なにより、住宅の資産価値に対して貸付額が設定されるという金融商品のため、利用したくても、自宅物件がその対象にならないというそもそものハードルがある。

このように、現状、単身高齢者にとって、持ち家は賃貸よりも「まだマシ」な選択ではあるものの、確実な安心をもたらすものとは言えないのである。

単身高齢者が直面する「住まい」の選択(写真はイメージ/shutterstock)
単身高齢者が直面する「住まい」の選択(写真はイメージ/shutterstock)
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単身高齢者のリアル ――老後ひとりの住宅問題
葛西 リサ
単身高齢者のリアル ――老後ひとりの住宅問題
2026/4/9
1,012円(税込)
224ページ
ISBN: 978-4480077394

こんなに難しい「最期の居場所」
老後ひとりになって初めて気づく、あまりにも冷酷な現実

貯蓄があっても賃貸に入居できない? 持ち家でも安泰とは言えない? 8日以上発見されない「孤立死」は年間2万件超。老後ひとりの「最期の居場所」をみつけるのは、こんなにも難しい。一人でも孤立せず生活を続けるためには、どうすればよいのか。不動産業界や民間団体によるさまざまな取り組みを紹介するとともに、日本の市場化された住宅システムの問題点を徹底検証。ライフコースや家族のかたちが多様化し、孤独死予備軍が急増する今、単身高齢者の住まいを保障する社会の仕組みを考える。

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【目次】
はじめに

第一章 孤独死の現場から

第二章 どこで最期を迎えるか――高齢者の住宅問題

第三章 単身化する日本――住宅難民予備軍の実態

第四章 不動産会社による居住支援――「隙間のケア」をどうするか

第五章 家で安心して最期を迎えるために必要なこと

おわりに

参考文献
あとがき
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