男のシンボルに託した純愛
女性が男性のシンボルを切り落とす。
聞くだけで、身の毛がよだつような事件だが、みなさんは、そのときの女性の心理をどのように想像されるだろうか。
おそらくほとんどの人が、女性の嫉妬や怒りが究極の形になってあらわれた残忍な犯行という見方をされるだろう。
本当のところは、どうなのか。さすがに私の長い監察医の経験でも、実際にその手の事件を検死したのは一例しかない。
その検死結果は、後で触れることにして、まず、あまりに有名なシンボル事件について書くことからはじめたい。
例の「阿部定」事件である。
直接私が検死したわけではないが、今回、この本を書くにあたってあらためて調べていくと、人口に膾炙(かいしゃ)したこの事件について誤解をしていた部分がかなりあることがわかった。
阿部定という女性の名前は、男性のシンボルを切り落とした代名詞のようになっていて、たまにテレビでも取り上げられるからご存知かもしれないが、古くなりすぎて、最近は知らない人も増えてきたかもしれない。しかし、ひと昔前までは、「愛する男の大事な部分を切り落とした女性」としてあまりにも有名だった。













