60年後に受け継がれた“変な歌”
日本の3大ビート・ソングといえば、笠置シヅ子の『東京ブギウギ』、春日八郎の『お富さん』、それに坂本九の『上を向いて歩こう』の3曲だろう。
『東京ブギウギ』は文字通りブギウギのビート、『上を向いて歩こう』は忌野清志郎が必ずこう言って紹介したように、“日本の有名なロックンロール”である。
『お富さん』は、沖縄出身で奄美大島で育った渡久地政信が沖縄音楽・奄美新民謡の要素を織り込んで作った民謡で、ダンスミュージックでもあるカチャーシーに、日本流のハンドクラップ(手拍子)が鳴り響く。そのあたりの高揚感は、ジャマイカのスカにも通じている。
1954年に爆発的にヒットした当時は、リズムの裏に合わせてハネる歌の心地よさで、幼児から大人にまで盛んに歌われた。
どこかアナーキーで意味不明な歌詞は、子どもばかりか大人にも“変な歌”と受けとめられたが、歌舞伎の名場面から引用した台詞のイメージと、日本語の語呂のおもしろさだけで十分だった。
はっぴいえんどを結成して日本語のロックを完成させる大瀧詠一は、10歳で洋楽に出会うまでは、地元の岩手県で山の景色を眺めながら、『お富さん』ばかりを歌っていたという。
しかし、春日八郎が亡くなってからは、今でも歌い継がれている『東京ブギウギ』や『上を向いて歩こう』に比べて、『お富さん』はかなり存在感が薄れてしまった。
ところが2014年、発売前からPVが評判になって“変な歌”と話題を呼んだ、くるりの『Liberty & Gravity』で状況が変わった。『お富さん』のエッセンスが受け継がれていたのだ。














