優秀な人間と変わり者はセット
私は、優秀な人間と変わり者はセットだと考えています。変わり者を全部潰してしまうと効率がよくなるように思えるかもしれませんが、私の実感では、そんな風にはなりません。
変わり者を根絶やしにすると、会社にとって欠かすことができない優秀な人間も潰してしまいます。
かつてのホンダには変わり者がいっぱいいました。こだわりが強くて、周囲を気にせず、ひとつのことだけをとことん突き詰めていくような尖った人間が本当に多かった。
それがだんだん排除されて活躍できなくなっていき、ホンダがホンダらしくなくなってきたように感じます。まだぎりぎり残っていた人間がF1やN-BOXの開発でも助けてくれました。彼らがいなかったらプロジェクトを成功に導けませんでした。
私がF1パワーユニットの開発総責任者を務めていたときに設計担当でシミュレーション作業の能力がとても高い人間がいました。
なぜ壊れるのかわからないところや、どう直していいのかわからないところをシミュレーションで発見して、すぐに直してしまうのです。ホンダのパワーユニットは高い信頼性を誇っていますが、彼がいなかったら直せなかったところがたくさんあります。
その彼は、能力は高いのですが、コミュニケーションが下手で上司に嫌われ、隅っこに飛ばされていました。彼が上にいろいろと提案するのですが、「お前はこれをやっていろ」と重要じゃない仕事を回され、出番が極端に少なかった。
私にいわせれば、その上司のほうがレベルが低い。特に成果を自分のものにしたがる上司にとって、彼はうとましい存在だったと思いますが、私は何度も助けてもらって本当に感謝しています。
軽自動車のN-BOXで一緒に仕事をしたある人はもっと変わっていました。彼は開発チームではコンセプトづくりなどを中核になってやってくれたのですが、それまではどこのチームでも浮いてしまってうまくいっていませんでした。
この人間は忖度せずに思ったことをなんでも口にしますし、誰に対しても「なんでこんなことがわからないんだ」という態度で接していました。
本人は相手をバカにしているわけではなく、どっちが上とか下とか主張しているわけではないのです。一生懸命に自分の提案するアイデアのほうがいいと主張しているだけなのですが、そんな態度なので同僚や部下には相手にされない。
上司をおだてたり持ち上げたりすることもできないので、言われた上司が「なんだコイツは、お前は自分のほうが上だと思っているのか」と感じて、遠ざけていたのです。













