診察でタオルをかけるのは、水などが顔にかからないようにするため
卒業後、一度だけ飲み会で再会した際も「気取らない感じ」だったという。それだけに、20年ぶりにニュースで名前を見た際の衝撃は、言葉にできないものだった。
しかし、事件の手口が明らかになるにつれ、後輩の感情は強い憤りへと変わったという。
「僕も20年近く歯医者をやっていますが、休日に20代の女性が一人で診察に来るなんて、よほど信頼されていない限りあり得ません。何度も通わせて安心させ、その信頼を悪用して犯行に及んだのだとしたら、卑劣極まりない。
何より、診察でタオルをかけるのは、水などが顔にかからないようにするための『医療事故防止』が目的です。それを目隠しとして悪用するなんて、同業者として恥ずかしいし、怒りしかありません。医療不信に拍車をかけた罪はあまりに重いですよ」
「原兄先輩」の事件の影響で後輩も“とばっちり”を受けているという。
「実際、僕のところでも『タオルをかけられるのが怖い』と怯える患者さんが何人も出ています。僕がタオルをかけようとすると顔をこわばらせて、『実はこういうニュースがあって、正直怖いです』と打ち明けてくれた方もいました。
うちの歯科医院には、女性スタッフも必ずいますし、患者さんに不信感を抱かせることがないように徹底して管理していますと、そういった場合にははっきりとお伝えしています。
だから、『今まで通り、ちょっと治療をやっていきましょう』『もし怖かったりするようなことがあったら、遠慮なく言ってください』『休憩しながらでもいいですし、無理のない程度にやっていきましょう』というような話を、一人ひとりに丁寧にするようにしています」
原田被告は、静岡市歯科医師会の理事を事件直後の2月まで務めており、行政の「障害支援区分認定等審査会」の委員にも委嘱されていた。地域医療のリーダー的存在であった男の犯行には、同歯科医師会の内部からも「到底許されることではない」といった批判の声が相次いでいる。
後輩は、「原兄」に対し、断腸の思いで決別を告げた。
「今回の事件、医療審議会でおそらく免許取り消しの処分がでるかもしれません。彼はもう二度と歯科医師を名乗ってほしくない。被害者の女性は一生トラウマを抱え、別の歯医者に行ってもタオルを見るだけでフラッシュバックに苦しむかもしれない。そのことを考えると胸が痛むばかりです」
事件発覚後、警察には他にも「被害に遭ったかもしれない」という相談が複数寄せられている。押収されたスマートフォンの解析により、さらなる余罪が出てくる可能性があるという。
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取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班













