「そこにいる人たちが納得していればいい」
–––先ほど「よい読後感のために、一度ストレスを作らないといけない」とおっしゃっていました。ということは、まずストレスのある状況やキャラクターを考えて、それをどう解決するかというアプローチで作品を描いているのでしょうか。
アンギャマン(以下同) そういうことが多いですね。読後感をよくするのって、問題を完全に解決させなくてもいいんですよ。その場とか、そこにいる人たちが「よかった」と納得していればいいというか。
たとえば『ラーメン赤猫』でいうと、佐々木が炎天下の中を歩く赤ちゃん連れのお母さんを見つけて、店に招き入れてラーメンを提供する話があるんですが、あれも今後のことを考えると課題がたくさんありますよね。「いつでもできることじゃない」とか、「今後もそれを期待されたら困る」とか。
でも、佐々木の明るい反応と、文蔵が「無理のない範囲でな」と言ったことで、その場は丸く収まっている。それでいいんだと。
–––じんわり「よかった…」と思わせるリアルさがありますよね。
そう思っていただけるとうれしいです。「ジャンプルーキー!」に投稿している作品もそうですが、ほかの読み切りとか、前連載作の『夜ヲ東ニ』も同じことを意識して描いていたんですが……当時は世界観が重厚すぎて、僕の想いを読者に伝えきれませんでした。
その点『ラーメン赤猫』は、基本的には店内での話。舞台が限定されているぶん工夫が要求されるので、それが僕には合っていたんじゃないかなと思います。