俺たちは決めたんだよ、ダサッて思うことは絶対にやらないって。

1988年、男闘呼組は映画『ロックよ、静かに流れよ』で銀幕デビューを飾る。

成田昭次が演じたのは、高校生・ミネさ。タバコを吸い、万引きをする素行の悪い不良役だった。同時にハムスターをかわいがる優しさや、万引きの濡れ衣を着せられた女子高生を助ける正義感の強い一面を持ち合わせていた。

ミネさは俊介(健一)、トンダ(和也)、トモ(耕陽)らとバンド「ミッドナイト・エンジェル」を結成するが、初コンサート前に、バイク事故で死んでしまう――。

メンバーは、特に和也は、この映画にかけていた。

「この頃、自分たちはアイドルらしからぬやり方で独自の道を作るんだって強く思ってた。アイドルの枠に収まらない新しいグループとして、自分たちのあり方を模索してたというか。

それは、楽曲制作やコンサートだけじゃなくて、演技の仕事に関しても。それが、自分たちのグループの個性を出すこと、他グループとの差別化につながるって思ってたよね。だから、そこに一生懸命こだわった。

長崎俊一監督はセリフの喋り方から何からとにかく本物志向で。いい映画を作るために、アイドルの殻を破り捨てて、その役にならなきゃいけないっていうスタンスだったんだよね。僕らは、この映画で、ホントに世の中をびっくりさせたいと思ってた。

映画『ロックよ、静かに流れよ』で、『あいつらはアイドルだけど、すごいね。やるよね。芝居上手いんだ』って思わせて、次の段階で、『バンドで演奏も自分たちでやるの?』『作詞作曲も?』ってのを目指してたから」

メンバー全員のサインが入った男闘呼組の初主演映画『ロックよ、静かに流れよ』の台本
メンバー全員のサインが入った男闘呼組の初主演映画『ロックよ、静かに流れよ』の台本
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この映画によって、グループの方向性もより明確になったと健一も言う。

「映画の俺たちと、実際の俺たちが、すげえシンクロしたというかさ。耕陽以外の3人はリアルな世界で、まあ言ったら不良だよ。昭次は名古屋の、和也は(東京)烏山のヤンキーで。俺は乱暴なことこそしないけど、いつも新宿の路上に座ってさ。

たまたまアイドル事務所に入ったけど、その偶然がなかったら、俺は夜の世界で黒服をやろうと思ってた。実際、誘われてたわけよ。男闘呼組のメンバーに出会ってなかったら、遅かれ早かれ、そっちの道、不良に戻ってたと思う。

映画の役柄として不良を演じて、元々俺ら、これじゃんって思ったんだよね。ある意味で素に戻れたっていうか。変に取り繕わず、あ、この方向で進めばいいってのがあったわけ。覚醒というか、再確認というか。

そしたらもう、アイドルの綺麗な衣装なんか着れなくなっちゃうよね。とにかく自分たちが着たいものを着る。好きなものしかやらない。俺たちは決めたんだよ、ダサッて思うことは絶対にやらないって。男闘呼組になった時に」