「ワイキキ・ビーチ」で生まれた名盤『空中キャンプ』
「ワイキキ・ビーチ」と名付けられた東京都世田谷区にあるそのスタジオで、最初に生み出されたのが『空中キャンプ』だ。
今まで通りレゲエやダブを基調にしながらも、佐藤のヴォーカルは演奏と一体となって宙を漂い、独特の浮遊感と内的世界を描くことに成功している。
このアルバムが発売される直前のラジオで佐藤は、「このアルバムは、一人のためだけに届かせたかった」と語っている。
「1対1っていうのが一番いいんだよ、本当は。音楽っていうのは」
これは、佐藤が洋楽のアルバムを聴いていた時の、自身の体験に基づいて語られている。また、別のインタビューではこのようにも語っている。
「ロックの人って『俺はこうなんだ!』ってのが多いじゃない? 『俺の自我でどおだあ!』みたいな(笑)。やってる側の自己顕示欲じゃないところで悲しかったり、良かったりする曲。そういうのを作りたかったんだよね」
性別も特定しない、時に主語さえも省略された、佐藤が描き出す抽象的な歌詞に、削ぎ落とされた音がZAKによるミックスで、まさに空中に浮かんでいるような独特の世界を表すことに成功している。
それが聴く者に押し付けることなく、一人ひとりの心の内側にスーッと深く入り込むのだ。













