「不謹慎だ」という声は、当事者から一度も届いたことがない

──センシティブなテーマを扱ううえで、「不謹慎だ」といった声が上がることもあると思います。当事者の方々の反応はどうでしょうか。

阿部 観に来られるまでは、不安の声はすごく多いです。でも実際にご覧になった方から「不謹慎だ」と言われたことは一度もありません。特攻隊の二人芝居を見た当事者の方が「私が言いたかったことを全部言ってくれた」と言っていただいたり、アイヌの方に「これからもこのネタを広めてください」と背中を押してもらえたり。そうした言葉が本当に励みになります。

公演の様子 写真/アップダウン提供
公演の様子 写真/アップダウン提供

──社会派芸人と呼ばれることもありますが、ご自身たちの立ち位置はどう捉えていますか。

竹森 社会派芸人の方々は、社会問題を風刺したり、現状にツッコミを入れたりするスタイルが多いと思うんですが、僕らの目的はあくまで「先人たちの活動を伝えること」です。つらい時代を、未来をあきらめずに乗り越えた人たちがいた。その事実を知ってもらったうえで、「じゃあ自分たちはどう生きていくのか」を考える時間をもってほしい。

そういうきっかけを作るのが僕らの役割だと思っています。だから、どちらかというと社会派芸人というよりは「愛を伝える芸人」なんですよ(笑)。

──最後に、今後の展望を教えてください。

竹森 学校教育の必修科目である「道徳」の授業の中でも、この活動を広げていけたらと思っています。「先人の人たちに感謝しなきゃいけない」と感じたことが、この活動を始めた原点ですし、感謝の気持ちを持てば持つほど、自然と相手への「思いやり」も育っていくと思うんです。

歴史を知れば知るほど、そこで起きた出来事が他人事ではなくなっていく。その積み重ねが人への想像力を育み、ひいては優しさを育ててくれる。僕たちの活動が、そんな心の変化に少しでもつながれば、何よりうれしいですね。

取材・文/福永太郎