食道がんのリスクが73倍にもなる

先ほどお話ししたアセトアルデヒドですが、この物質には明確に「発がん性」があることが証明されています。

大腸がんや肝臓がん、閉経前の乳がんなど、様々な部位のがんリスクを高めることが知られていますが、アルコールとの関連で最も危険視されているのが、実は「食道がん」なのです。

かつては、熱い食べ物や喫煙が食道がんの主な原因とされてきましたが、近年の研究でお酒、特にアセトアルデヒドが極めて強力なリスク因子であることが明らかになってきました。

写真はイメージです(写真/Shutterstock)
写真はイメージです(写真/Shutterstock)

ある信頼できるデータによれば、お酒を全く飲まない人と比較した場合、少量の飲酒でも食道がんのリスクはなんと7倍に跳ね上がるという結果が出ています。これが中等量の飲酒になると43倍、そして大量の飲酒習慣がある人では、実に73倍にも達するのです。

これは驚異的な数字といわざるを得ません。しかも、食道がんは自覚症状が出にくく、発見されたときには進行してしまっているケースが多い、非常に厄介ながんでもあります。

遺伝子を攻撃し、傷つけるものはすべて発がん性物質と考えるべきで、アセトアルデヒドは、まさにその代表格といえるでしょう。

写真はイメージです(写真/Shutterstock)
写真はイメージです(写真/Shutterstock)
すべての画像を見る

では、お酒が好きな人はどうすればいいのか。

私は決して「お酒をやめなさい」などと言うつもりは少しもありません。まずご自身の体質を理解し、リスクを正しく認識すること。

そして、お酒を飲み続けるという選択をするのであれば、量に気をつけ、定期的に検診を受けることです。

特に胃カメラなどの内視鏡検査は、食道の状態を直接観察できるため非常に有効です。リスクがあるのならば、それ以上に早期発見に努める。これがお酒と長く、賢く付き合っていくための唯一の方法だと私は考えます。

文/梶原一人

『ハーバード×スタンフォードの医師が教える100年生きる食事術』(かや書房)
梶原一人
『ハーバード×スタンフォードの医師が教える100年生きる食事術』(かや書房)
2025/11/8
1,760円(税込)
224ページ
ISBN: 978-4910364971

ハーバード大学に研究員として留学し、在職中に世界で最も権威のある科学雑誌『ネイチャー』『サイエンス』に論文を発表。スタンフォード大学医学部・神経生物学教室で研究を続け、現在「眼科かじわら アイ・ケア・クリニック」を開業している眼科医・梶原一人氏が、100年を健康に生きるための食事術を解説します。

眼科医が栄養学を語る理由は、目の健康が体、特に「血管」の健康と密接に結びついているからです。それはつまり、目の健康はもちろん、がん、糖尿病、高血圧、動脈硬化、認知症、脳梗塞、心筋梗塞、腎臓病、薄毛まで、加齢に伴う様々な悩みに「食」を通じてアプローチすることを意味します。

本書では、糖尿病や老化を促進する揚げ物などの「AGEs(終末糖化産物)」や甘い飲み物を避け、魚、ナッツ、野菜といった血管を元気にする食品を具体的に紹介。34万人登録を誇る著者の人気YouTubeチャンネル「100年生きる!眼科チャンネル」の内容を基に、科学的根拠に基づいた「食べてはいけないもの」「食べるべきもの」を分かりやすく楽しく解説しており、あなたの目と体の未来を守る一生役立つ知識が満載です。 本書を読んで健康で100歳超えでも元気でいられる食事術を学びましょう!

amazon