食道がんのリスクが73倍にもなる
先ほどお話ししたアセトアルデヒドですが、この物質には明確に「発がん性」があることが証明されています。
大腸がんや肝臓がん、閉経前の乳がんなど、様々な部位のがんリスクを高めることが知られていますが、アルコールとの関連で最も危険視されているのが、実は「食道がん」なのです。
かつては、熱い食べ物や喫煙が食道がんの主な原因とされてきましたが、近年の研究でお酒、特にアセトアルデヒドが極めて強力なリスク因子であることが明らかになってきました。
ある信頼できるデータによれば、お酒を全く飲まない人と比較した場合、少量の飲酒でも食道がんのリスクはなんと7倍に跳ね上がるという結果が出ています。これが中等量の飲酒になると43倍、そして大量の飲酒習慣がある人では、実に73倍にも達するのです。
これは驚異的な数字といわざるを得ません。しかも、食道がんは自覚症状が出にくく、発見されたときには進行してしまっているケースが多い、非常に厄介ながんでもあります。
遺伝子を攻撃し、傷つけるものはすべて発がん性物質と考えるべきで、アセトアルデヒドは、まさにその代表格といえるでしょう。
では、お酒が好きな人はどうすればいいのか。
私は決して「お酒をやめなさい」などと言うつもりは少しもありません。まずご自身の体質を理解し、リスクを正しく認識すること。
そして、お酒を飲み続けるという選択をするのであれば、量に気をつけ、定期的に検診を受けることです。
特に胃カメラなどの内視鏡検査は、食道の状態を直接観察できるため非常に有効です。リスクがあるのならば、それ以上に早期発見に努める。これがお酒と長く、賢く付き合っていくための唯一の方法だと私は考えます。
文/梶原一人













