プロ棋士になるも「あれ? 仕事なくない?」
–––プロ棋士としての活動を始めてから、何かギャップはありましたか?
対局そのものに関しては、正直あまりギャップはなかったですね。ただ、大きかったのは仕事の面です。
対局はもちろん、指導碁やイベントといった仕事が、ちょうどコロナの時期と重なってしまって本当に少なかったんです。もちろん自分の実力不足もあったと思いますが、「どうしよう」「何かしないといけない」という焦りは強くありました。
中学生の頃、先生から「女流はプロになってしまえばなんとかなるから」と言われていました。というのも、女流棋士は一般棋戦だけでなく女流棋戦にも出られますし、若いうちは若手棋戦も出場できます。それに指導碁もあるし、イベントにも呼ばれやすい。だから「なるまでは必死で頑張れ」と。
でも、実際になってみたら……「あれ? 仕事なくない?」という状態でした。
–––固定給のような仕組みはないのでしょうか?
プロ棋士は基本的に歩合制なので、「対局を打てる資格をもらった個人事業主」という感覚に近いです。一応プロとしての報酬もあるのですが、そこまで多くはないので。
対局料も支払われますが、あるといっても年に15大会程度です。しかもトーナメント戦なので、1回負けたら終わり。もちろん勝ち進めば対局料も増えますが、大多数の棋士にとって、安定した収入が確約された世界ではありません。
「プロになった=生活が保障される」というわけではないんだな、と実感しました。
–––生活を成り立たせるためにも、自分なりの活動の形を模索していった、と。
はい。対局1本でいく方もいますし、普及活動など、別の仕事を中心にされている方もいます。私は対局以外の仕事にも興味があって、イベントなどもやる気満々でプロになったんですが、そのタイミングでコロナ禍に入ってしまって……。囲碁人口も減少傾向のなか、仕事自体が本当に少なかったんです。
特にプロになった1年目は、何から始めればいいのかもわからなくて。関西棋院の指導碁に応募するなど、少しずつ「今できること」から始めていきました。
–––SNSでコスプレ姿を発信するなども、その一環だったのでしょうか?
はい。やっぱり「まずは知ってもらわないといけない」と思っていました。
18歳でのプロ入りは、囲碁界では特別早いわけではありません。17〜18歳が平均で、もっと若く、10代前半から活躍されている先生もいます。その中で、対局だけで存在感を示すのは難しい——そう思ったからこそ、Xでの発信にも力を入れるようになりました。
その延長線上で、コスプレの投稿やYouTubeにも挑戦しました。囲碁を真剣に打つ姿だけでなく、まずは「(囲碁を)知ってもらうきっかけ」になればという思いがあったんです。













