外国の影が忍び込むとき
参院選では、SNSを通じた外国からの選挙介入も注目された。選挙期間中に政府や特定政党への批判投稿を繰り返していた複数の匿名インフルエンサーアカウントが、突如として凍結されたことが大いに話題となったのだ。これらのアカウントは、まとめサイトの記事などを連続投稿しながら政権批判を展開していた。
注目を集めたのは、情報法制研究所事務局次長の山本一郎氏が、自身のブログでこれらのインフルエンサーアカウントについて「ロシアなどの外国勢力による関与の痕跡がある」と指摘したことだった。
山本氏によれば、生成AIと複数のスマートフォンを組み合わせたボットシステムにより、不自然な日本語の投稿が大量に拡散されていたという。ボットが自動的に「いいね」やリポストを繰り返し、特定の投稿を人気があるように見せかける。これにより、ある政治的主張が、まるで世論の大勢であるかのような錯覚を生み出してしまうのである。
NHKの報道でも、ボットによる投稿が少なからずあったと指摘されている。また、凍結されたアカウントと連動していたまとめサイトには、ロシア国営メディア「スプートニク」の内容を引用した記事も存在していた。
ただし、前述した山本氏の分析において、使用された技術や分析手法の詳細は公開されていない。外国勢力の介入が実際に選挙結果にどれほど影響したのかは、現時点では不明であり、慎重な評価が必要である。また、NHKの報道で取り上げられているまとめサイトの運営者も、個人によるもので外国勢力とのつながりはないと述べている。
いずれにせよ、一般論として、外国からの介入(影響力工作)というものは、すでに世界的にはかなり起こっていると指摘されている。
その手法としては、例えば前述したように、ボットが自動的に「いいね」やリポストを繰り返し、特定の投稿の拡散を促すというものがある。こうした動きによって、特定の主張や立場に対し、あたかも多くの支持が集まっているかのような印象が生まれやすくなる。
この現象は、心理学において「ソーシャルプルーフ効果」と呼ばれ、他者の行動や反応を手がかりにして自らの判断を下すという人間の特性を突いたものである。例えば、多くの「いいね」やリポストが付いた投稿を見ると、それが信頼できる、あるいは広く支持されている意見だと錯覚しやすくなる。
その結果、ある政治的主張が実際の世論とは異なっていたとしても、「世論の主流」であるかのような誤った認識を人々に与える可能性がある。このような手法は、意図的に世論を誘導するうえで極めて効果的であり、SNS時代における新たな情報戦の様相を示している。













