アベノミクスという「成功体験」をいまに当てはめる危うさ

株価を維持し、景気を大きく損なわず、名目税収を確保する。その選択の積み重ねとして、通貨の弱体化を事実上容認してきた。円が「自然に弱くなった」のではない。円安を許容する政策判断が繰り返された結果である。

ここで、アベノミクス初期と現在を混同してはならない。

しかし現在は、円の実質価値が大きく低下し、生活必需品価格が高止まりし、実質賃金も複数年にわたり伸び悩んでいる。この土台の上で、同じ政策処方を繰り返しても同様の効果が得られるとは考えにくい。

「中国は瀕死というより延命の質が低下」「割を食うのは日本」国際的投資家が警告! 2026年、世界経済を揺るがす3つの火種_2

にもかかわらず、2024年9月の自民党総裁選を巡る報道の中で、高市早苗氏が金融引き締めに否定的な趣旨として「いま利上げするのはアホや」と発言したことが報じられている。この発言は経済理論というより、過去の成功体験への強い信認を示すものと受け取られうる。