「戦隊」の制約がなくなったのが、逆に苦しかった
――映像制作とマンガ制作、作り方の違いは?
高野 「制約がない」のがいちばん大変でした。映像、特に特撮の場合は「クリアしなきゃいけない課題」が最初から膨大にあるんです。メインの戦隊は6人で、毎回敵が出てきて戦って、ロボも出さなくちゃいけなくて、子供向けだから過激描写はダメで……。
その制約を全部クリアするには、っていう考え方で話を作れたんですよ。でもマンガは、何を描いてもいい。一見楽そうに見えて、無限の選択肢の中から決め手がない正解を探すのは、苦しかった。いろんなネームを描いては、編集者と自分の間でボツにする期間が続きました。
――そこから抜けたターニングポイントは?
高野 作画の垂見秋邑(たるみ・あきさと)さんと出会ってからですね。ネームを描くのと並行して作画の方を探していたんですが、ある時編集者が「新人賞を獲ったすごい才能がいて、高野さんの描くキャラクターと相性がいいと思うんです」と、紹介してくれたんです。
それで試しに、自分の描いたネームを、垂見さんが線画として仕上げて下さった。その仕上げが本当に素晴らしくて……だからこそ「このままじゃダメだ」と思いました。
自分の描いたネームとキャラクターだと、垂見さんの絵が活きてない。それを突きつけられた時に「垂見さんの絵を“制約”にしよう」と思って、それまでに描いた話を全部捨てたんです。
――絵が制約、とはどういうことですか。
高野 作画の垂見さんは背景から色を塗るところまで、一つ残らず全部自分で描きたい人なんです。ただでさえ週刊連載は時間がないのに、アシスタントも入れないとなると、垂見さんがノって描けるかにかかってくる。
だから垂見さんがどういうキャラクターや絵を描くのが好きな人なのかを、編集者も交えて話し、垂見さんの絵が輝くような話を新しく作りました。
そこからは作画が少しでもスムーズにできるように、「垂見さんの得意な絵」を想像しながらネームを描くようになりました。垂見さんが作画したキャラクターを逆に模写しながら、ネームの絵を寄せる練習もして。結果、僕だけでは描けなかったキャラクターたちが生まれてきました。
これは『キングオージャー』の時と同じで、あのキャラクターたちもキャストやスタッフの皆さんと一緒に作り上げたからこそ、唯一無二の存在になったと思うんです。集団でもの作りをする醍醐味ですね。
――集団制作にこだわっているのですね。
高野 僕は中学校の時に初めてやった演劇から、ずっと集団でばかりやってきたんです。小説を書き切ったことは一度もないし、マンガも一人では続かなかった。みんなで作る方が楽しいし、生きがいや喜びを感じるんです。
思えば編集者と2人だけの時は、集団じゃなかった。3人が“集団の最小単位”なんです。そこからは『キングオージャー』をみんなで作っている時と、同じような感覚で取り組むことができるようになりました。
文・写真/集英社オンライン編集部













