お笑いと囲碁に共通する、相手や観客を見る力
––––お笑いの場合、オーディエンスの反応を見て、その場でネタの細部を変える、というのは難しそうです。
文田 やっぱりコンビでやっているので、その場で意思を共有できないんですよね。だから基本的には方向転換せず、スベってもやり切る、みたいな感じです。
上野 でも、1公演目と2公演目でネタを変える、ということはありますよね?
根建 一応、例えば同じ劇場で3公演ある場合は、すべて違うネタをやるようにはしています。ただ、芸人さんは結構同じようにやっていますよ。上野さんも、対局ごとに戦術を変えていますよね?
上野 確かにそうですね。相手を研究したうえで、その人に対して最適な戦い方を選ぶようにしています。お二人は、その日やるネタをどうやって決めているんですか?
根建 「今日やるならこのあたりかな」という候補がいくつかあって、その日の客層――例えば修学旅行の学生が団体で来ている、とかを見て決めています。
文田 舞台裏にモニターもありますし、前説などを見れば、だいたいの雰囲気もつかめるんですよ。「今日はあんまり笑わないな」とか、「何でも笑ってくれそうだな」とか。ただ、1本目で想定していた反応が返ってこなかったとしても、2~3本目でネタを変えることはあまりないですね。
根建 上野さんは、対局直前で戦術を変えることはあるんですか?
上野 ありますね。相手の表情や雰囲気を見て、変えることがあります。例えば、相手の気合が入りすぎているようだったら、普段はあまり打たないような戦術で挑んでみたり。
根建 すごい。「あ、ちょっとコイツ鼻息荒いな」みたいな。
上野 そうです、そうです(笑)。特に世界戦だと、そういうことが多い気がしますね。
文田 ちなみに読み筋みたいなのって、どうやって鍛えているんですか?
上野 やっぱり本番の対局を積み重ねることでしょうか。真剣勝負を何度も繰り返すことで、どこで集中すればいいのかなどが自分の中でわかってくるんです。直感的なところも大きいんですけど。
––––やっぱり現場を積み重ねることは大事ですね。お笑いの場合はどうですか?
文田 それこそ、例えば5時間くらい打ち合わせしてネタを作っても、実際に舞台上でポロッと出たアドリブが一番ウケた、みたいなのはありますよね。
根建 囲碁だとあんまりないですか? 事前に研究した形ではないけどその場の思いつきでやってみる、みたいな。
上野 全然ありますよ! いまではAIが有効な打ち手を確率で出してくれるんですけど、それよりも、自分で適当に選んでみた手がうまく進む、みたいなこともあります。













