日本の代表魚、人気は下位
一定の制約はあるものの、日本の魚に関する統計として指標となる漁業生産量は、近年は全体として減る一方である。さらに水揚げの筆頭は、マイワシを中心にホタテガイ、サバ類、カツオ、スケトウダラといった順に多いことがわかる。
筆者はよく、知り合いに「日本で一番獲れる魚はなんでしょう?」というクイズを出す。日本を代表する魚は何なのか。どれほどの人が知っているのだろうかと思い、この質問を投げかけるのだが、正解率はあまり高くない。ざっと3割程度である。
少なくともここ6年間、日本で一番獲れている魚であるマイワシの人気は、決して高くない。大量に漁獲されている割に、魚売り場で大量に売りさばかれているとは言いがたい。2位のホタテガイはそれなりの人気があるし、どちらかといえば高級貝の仲間ということもあって、消費拡大への可能性を探る必要はあまりないが、3位のサバ類などの大衆魚と呼ばれる魚は、たくさん生産されている割に、国内消費が少なくて話題になりにくい。
日本で魚が獲れなくなって漁業が衰退し、世界的に人気を博している和食・魚食文化が廃れようとしている。そうした中、今の魚の生産・流通・消費の実態をこのまま放置していれば、将来の日本漁業は、本当に崩壊してしまうのではないかといった不安が高まってくる。
逆に言えば、たとえ魚の全体の水揚げが低調であっても、水揚げが上位で比較的たくさん獲れている魚たちをもっと利用すれば、漁業者の実入りも上がり、魚食文化の継承についても、別の筋書きが描けるようになってくるのではないかと思う。後述するが、それだけメジャーな国産魚が見過ごされている現状がある。
筆者は日本の漁業を「捨てたもんじゃない」と感じている。地球規模の温暖化に伴う海洋環境の変化により、豊漁・不漁を繰り返す魚資源は、漁獲管理だけで完璧にコントロールすることは難しい。世界的に見ても天然魚の漁獲が不振となっているだけに、獲れているマイワシをはじめとした日本を代表する魚を、有効に利用していかなければならない。













