すべて高市政権の「能力不足」に帰結する
米国には勝手な軍事介入の予言による不信感を与え、中国には関係崩壊の決定的な口実を与え、台湾には現状変更を迫られる迷惑と恐怖を与え、そして日本国民には経済的損失と戦争に巻き込まれるリスクを与えた。
これらを引き起こした原因は、すべて高市政権の「能力不足」に帰結する。複雑な国際情勢を読み解く知性、法律の整合性を保つ論理性、相手国の立場を想像する共感力、そして経済的リスクを計算する経営能力。
これらすべてが欠如しているからこそ、あのような発言が国会の場で飛び出したのである。
これは「愛国心」や「保守」といった思想の問題ではないし、そもそも私は高市首相の愛国的態度を強く支持している一人だ。厳しい言い方になるが、単に「高市政権には外交的な実務ができない」というレベルの話なのだ。国際政治は、言葉一つで人の命や国家の存亡が決まる冷徹な世界である。
そこに必要なのは、勇ましいだけのスローガンではなく、緻密な計算と静かな抑止力だ。自分の発言が世界でどう受け取られ、次に何が起きるかを予測できない人物が、日本の舵取りを行っている。その事実こそが、今、日本が直面している最大の「存立危機事態」なのかもしれない。
文/小倉健一













